ハナカズキ

地上の星たちのハナカズキのレビュー・感想・評価

地上の星たち(2007年製作の映画)
3.6
初インド映画鑑賞です。

主人公の男の子イシャーンは勉強ができず、学校でも家でも怒られてばかり。同級生からも馬鹿にされています。勉強ができないのは何か原因があるのではと思われますが、両親も先生も怒ってばかり。

そんな居場所のないイシャーンですが、とある先生との出会いが彼を変えていきます。

と、ざっとあらすじはこんな感じ。なんとなくストーリーの流れ、結末はぼんやりと想像できますが、filmarksの平均スコアも高く期待して鑑賞しました。

映画前半はイシャーンの置かれた状況が辛く胸が痛くて、思わず涙が出る場面もありましたが、映画的にはとても良かったと思います。

が、後半、その先生が登場した辺りから、「今から救世主的な立派な人物が登場しますよ」「ここから感動の話が始まりますよ」っぽい演出に感じてしまい、ほんのちょっと気持ちが冷めてきました。もしかしたら、インド映画ってこれが通常運転なのかもしれませんが。

とは言え確かに素敵な先生で、ジーンと胸に響く場面もあったりと映画に惹きこまれていたのですが、ラストの帰着点があれ?こういうこと?と個人的には違和感を覚えてしまいました。

以下ネタバレあり




先生はイシャーンの美術の才能に気付きます。と同時にイシャーンの勉強が苦手な原因も見抜きます。

この先生の助けによりイシャーンは勉強もできるようになり、最終的には両親も先生たちも良かった良かったと喜ぶんですが、結局このハッピーエンドの要因は“イシャーンが人並(もしくは人並以上)に勉強ができるようになったから”ということ。

絵の才能を伸ばし自信を付けたイシャーンが「人と違っていてもいい」と自分を肯定できるようになっていく結末を予想していた私はちょっと拍子抜けをしてしまいました。

もちろん勉強ができるようになるのは大切なことなんですが、結局「人並に勉強できるようになって良かった」という結末。

「人と違っていい。個性を尊重する」「人並になって良かった」。どちらの価値観も優劣はありませんので、あくまでも私の個人的な感覚です。


この映画の一番良かった点は、主役の男の子の演技。とても上手でした。
ハナカズキ

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