しゅんまつもと

私たちのハァハァのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)
2.9
好きなバンドのライブに行くために自転車をこいで福岡から東京まで行く。友達と。
んなことできねぇよ。なんて理性もぶっとぶくらい好きなものがある。ただそこに行きたいその一心でひたすらに自転車をこぐ。しかもそれが1年後の自分の将来すらはっきりしない「青春」真っ只中の女子高生ときたら、こんな素敵なプロットはないだろうと映画が始まった瞬間から心が踊って仕方なかった。クリープハイプに特段興味はないのだけど、それでも。
事実、冒頭のPOVから俯瞰に切り替わって彼女たちが走り出すショットの瞬間には不覚にも涙が出てしまった。
原爆ドームの横で、自分が心から好きなものについて語り合い、私は何になるんだろうと溢す。そんな四人を柔らかい灯りが照らしているシーンもひたすらに良いと思った。

広島を過ぎたあたりから急速に熱が引いていく。
百歩譲ってヒッチハイクに移行したことは認めよう。でもあんな池松の使い方やお金の稼ぎ方は本当に冷める。でもまぁそこも譲ろう。大事なのは彼女たちがライブ会場に着いて、わからないけど好きだから追い求めていたものに対面する瞬間だ。
いや、おい。待て。何してる。そこは真正面から対面しようよ…。そんな捻くれいらないよ…。

ただ女子高生がライブ会場を目指して自転車を漕ぐ。それだけで良かった。でもそれにこそ価値があったはず。残念。