ベビーパウダー山崎

オッペンハイマーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
2.0
右寄りのオリバー・ストーンとか最悪すぎる。利益と支配欲によって生み出された原爆で命を奪われた何十万もの一般市民より、その「創造者」の苦悩を三時間かけて熱心に描くノーラン。被害者の視点を、声を、黙殺し、加害者(国の加害性)の言い訳を延々と語らせ続ける、反省のふりをしたプロパガンダ、ヤンキーの英雄神話。
アクションもそれほど巧いわけではないが、ドラマはまったく撮れないノーラン。脇役に至るまで名の知れた役者だらけだが、演出の大半は動きのない状況での顔芝居。しかも、その合間に挟まれるイメージの数々が酷く安く、どこか陰謀論YouTubeの映像ギミックっぽいが、何よりこれが「史実を扱った作品」であるという現実が俺を更にグッタリさせる。
こんなのに出るなよベニー・サフディ、サフディ兄弟が表現で対立するのはこういった映画ではないのか?。刺身のツマ程度の女性キャクター、フローレンス・ピューの役柄を思想ではなく肉体として描くのは犯罪レベル。そのなかでもマット・デイモンは本当にうまい。受けも攻めもどんとこいの間違いない役者。つまんなくて二日に分けて見たが、デイモンが現れなかったら途中でやめていたと思う。