Omizu

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのOmizuのレビュー・感想・評価

4.1
【第95回アカデミー賞 視覚効果賞受賞】
娯楽映画として完璧。192分思いっきり楽しめる最高の作品。正直最初はあまりにCG感が強すぎて違和感があったけど、どんどん馴染んできてしっかり泣かせられた。

素晴らしいのは無駄に込み入った話にせず、画面を愛でキャラクターに100%共感できること。また失敗した娯楽映画にありがちな押せ押せの演出ではなく、引くところは引くバランスになっている。

まずいいなと思ったのは舞台設定だよね。前は森だったから今回は海!というのはいいアイデア。世界観を崩さず飽きない画面にしてくれる。

海中の世界はしっかりパンドラではあるが見たことがない生態系を構築している。海の中にある生命の樹も神秘的で素晴らしい。

アクションシーンの合間にキリの謎でしっかりバランスをとってくるのが上手い。キリが静の役割を担っている。

伏線も見事に張り巡らせており、華麗に回収していく手腕はさすがキャメロン。

最後がもろに『風の谷のナウシカ』なのは笑った。あれは意識してるでしょ。

ただ、引っかかるところがあったのも事実。まず話から言うと、トゥルクンが一体であんなに強いなら普通に力を合わせて撃退できるのでは…トゥルクンの掟でそれはダメなの?

あとトゥルクンはおそらく、というか明らかにクジラをモデルにしているはずで、そうなるとトゥルクン漁はクジラ漁だよね。暗にクジラ漁を批判してるのかなと思わなくもない。そうなると日本人として複雑な感情にならざるを得ない…

一番気になったのは「父の役割は家族を守ることだ」的なスピーチが繰り返されるんだけど、なんで父なの?と…母もそうじゃない?続編でエクスキューズがあるのかもしれないが、何度も繰り返されるのでどうかなと。

まあそんな細かいことは置いておいて素直に楽しい作品なので、こんなこと言うのは野暮だとは思う。

楽しくて美しくて感動できる娯楽映画として満点の作品。さすだキャメロン。
Omizu

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