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アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのt0moriのレビュー・感想・評価

3.7
イオンシネマのHFR版3D吹替え版にて。
シアタス調布のVESTIA シアターはRealDによる3Dなので、フィルター1枚分暗い感じ。ヌルヌル感は堪能出来たけど、オススメ出来ない。かといって、改めてレーザーIMAX行くか?と言われると、もうお腹いっぱいという感じではあったけど。

狙いとしての、観客を完全に作り物の世界に没入させるという、1作目と同じ試みは技術の進化とともにさらに深化して完成していて、アトラクションとして貴重な体験だったと思う。

ただやはり1作目同様『モヒカン族の最後』の翻案である事には変わりなく、物語がそこから脱皮出来ていない感じは残念だった。森の民であるサリー一家を匿うために出た犠牲も大きすぎるし、釈然としない能天気な展開も多い。前作から気になっていたけど、ナヴィたちの仕草、芝居も異星人のそれではない感じ。手を広げて牽制しながら揶揄うジェスチャーなど、侵略者からの目線での造形なのは、やはり物語の主張と矛盾があって、ある種の文化盗用の様な居心地の悪さがある。

公開2日目の土曜日夕方なのに、6割くらいしか入ってなかった。まあ、都心のIMAXやDolby Cinemaなどに流れているんだろう。終わって掃除に来たスタッフ2人が、観客退場を見守りつつ、「いやー、結構スカスカですね、スラダンが毎度いっぱいで、みんなポップコーン食べるから掃除大変だったけど、こっちは安心しました」とか言ってて、おいおい、おもろいけど、客が出て行くまで我慢した方がええんちゃう?と失笑した土曜の夜だった。

画像は、パンフかと思ったらビジュアルディクショナリーで、インタビューの類は一切なしで残念。

【追記】
観賞中も感じていたけど、ビジュアルディクショナリーとやらをつらつら眺めて、やはりこの作品、デザインがダメと強く感じる。
どれもこれも足し算のデザインで、異世界表現が古臭すぎる。今はもっとプリメティブなシェープや、ありそうでなさそうな絶妙な形状の物や、違いで表現する物や、それらの物に精緻な機械が融合している様なハイブリッドな物などが主流だと思うのだけど、本作は実在するイメージにあれこれ継ぎ足して仕上げているので、グロテスクな方向に行くばかりで、異世界か?と言われると首を傾げる物ばかり。
代表的なのが本作のキーキャラクターでもあるトゥルクン。クジラをベースに目が4つで口が裂けていて、背鰭がないが胸鰭は割れていて……なんて陳腐なんだろう。
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