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ブリッジ・オブ・スパイのclever1のレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.5
ストーリー、脚本、演出、カメラワーク、BGMの使い方など、全て文句なしどころか、うーんと唸る素晴らしさ。硬派なテーマながらも、伏線というか韻を踏んだようなセリフや描写を入れてニヤッとさせたりのエンタメ的サービスもしっかりあって、流石ですわ。
アベル役のマーク・ライランスの演技も素晴らしく、調べたらこれで助演男優賞でオスカー取ってるんですね。
派手なハリウッド的サスペンスにありがちな、わかりやすい(子供だましな)勧善懲悪などなく、それぞれの国のそれぞれの立場からくる思惑や言動が「そりゃまあ普通そうなるよな」と納得できるもので、それがリアリティを高め没入感に繋がっている。それ故にドノヴァンの卓越ぶり、素晴らしさが際立って感じられた。
カメラワークやシーンの描写も素晴らしく、例えば取調べ室の様な部屋でドノヴァンとアベルが話すシーンで、電気椅子送りになろうかというアベルが窓から差し込む柔らかい明かりに照らされてむしろ達観したように落ち着き払ってる一方で、手前で逆光で顔も見えないドノヴァンがやや不安気に慎重にドノヴァンに話しかける、立場が逆転してるかのような描写など、セリフ抜きでもそれぞれの感情が伝わって来る。
BGMもほとんど流ず、ここぞという所のみで流れる。BGMなしに慣れてた観る側はそこでグッと感情が高まった。
奥さんもチョイ役なのに最後に存在感持って映画にもう一段深みを与えてたし、なんなら電車の中で新聞越しにドノヴァンを見つめる乗客ですらいい演技してた。
いやあ最上級に面白かったし、一流が集った仕事だと感激しました。
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