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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのclever1のレビュー・感想・評価

4.0
観て良かった。
映画がどの程度事実のまま伝えているか、あるいはインタビューを受けた関係者がどこまで真実を話したかはわからないが、少なくともこの映画を信じればトーニャに同情せずにはいられない。映画の中で触れられている通り、私もメディアが作り出したイメージの通りにトーニャのことを誤解していた。
ろくな教育も受けさせられず、下卑た愚かな人間に囲まれて育ち、彼らから避けられない影響を受けながらも、努力と才能でオリンピック級の成果を上げたことは本当に素晴らしい。しかし一方で、愚かなジェフを信じすぎ、間接的に脅迫に加担してしまったりというトーニャ自身の抗えない愚かさもあって、最終的に社会的制裁を受けてしまった。それも犯した罪以上の制裁を。アメリカの貧困と、フィギュアスケート協会のエゴ、メディアのエゴの餌食になった感…
トーニャのたどった人生は、普通だったらとても立ち直れない様な辛いものなのに、それでもそれを「しかたがないこと」と受け入れてるトーニャが切ない…。彼女にとってはそんな救い難い境遇も、これまでの人生で特別なことではないんだろう。「私のせいじゃない」と思わなければとてもじゃないが生き抜けなかったんだろう。それを責める気にはなれない。
それにしてもショーンのあまりのソシオパスぶり、サイコパスぶりはコメディのレベルで、さすがにこれはだいぶ演出入ってるだろうと思ったら、ラストの実際のインタビュー映像で事実だったとわかり、一気にホラーのレベルになった。
そしてアリソン・ジャネイの怪演はもちろん、マーゴット・ロビーもとても良かった。これでオスカー貰っても良かったんでは。
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