このレビューはネタバレを含みます
「ナチスのレーベンスボルン計画」
ヒトラーやナチスの残虐な行為はつとに有名で、私達は既に知っているつもりになっている。
このドイツとノルウェーの合作映画に描かれる、冷戦時代にも続く大戦中のナチスの活動の影響下の潜入スパイの話は、日本人には身近なものとは言えない。
ナチスの人口増産計画の一環として行われていた「レーベンスボルン(生命の泉)」計画。ヒトラーが考える優秀民族アーリア人種を増産するために行われていたものとのこと。優秀民族とは白人で金髪、碧眼の子供達。なんという浅はかな計画と今では一蹴されても、現実にドイツで行われていたと知るとゾッとする。何処かの国の大統領候補が言っていたことに似てやしないか…
主人公はノルウェーに東独の潜入スパイとして入国、潜入先のノルウェー人と結婚して孫までいる女性。1990年の東西ドイツ統一により、次第に身の危険が迫る事になる。
良く見る潜入スパイものとは違う地味で何処までも陰鬱な展開が、今さらの大戦の傷跡の深さをズシンと伝えて来る。