ジジイ

エレナの惑いのジジイのネタバレレビュー・内容・結末

エレナの惑い(2011年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「父帰る」のアンドレイズビャギンツェフ監督作品。面白かった。端正で静かな画角から伝わってくる、今にも何かが起こりそうな緊張感がたまらない。寝室こそ別であるが、とても仲睦まじい老夫婦に見えるウラジミルとエレナ。会話から二人が再婚同士でそれぞれ親のスネを齧るいい歳をした子供たちがいることがわかる。夫の健康を気遣い献身的に支える元看護婦の妻と父にはまるで寄り付かない放蕩娘。この構図がそっくり反転してしまう構成と、罪を犯したエレナに対する「罰」が起こりそうで起こらない緊張感が見事。車窓から見える白馬の死体、団地の停電から孫たちの乱闘へと、手持ちカメラで繋がる視線の冷徹で流れるような美しさに唸る。エレナが殺人を決意する瞬間の鏡の演出も素晴らしい。ラスト豪邸でくつろぐ息子家族の姿はそのまま「パラサイト」を見ているようだった。
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