雨丘もびり

草原の実験の雨丘もびりのネタバレレビュー・内容・結末

草原の実験(2014年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

『ミツバチのささやき』と何か違う.....(謎)。

観ている間、ずっと違和感がつきまとう。

ことばをしゃべらない人物たちが、ジェスチュアゲームみたいな身振り手振りで物語を伝えようとする演出意図が不明。
カオ芸みたいなアザトい感情表現(喜・怒・哀・楽しか無い)にも冷める。
吐息や鼻歌やセキなどは普通になさるのに、しゃべらないから余計に不自然で気持ち悪い。
いらんことせんとフツウにしゃべらせてよって思ってしまった。

何も知らされない人々が、凄惨な実験によってむごたらしく蹂躙された不条理を訴えたいなら、
むしろ、普遍的な生活模様(会話など)をそのまま映してくれれば足りるのに、監督がヘンな美学で描こうとしているから伝わらない。
ましてや史実なんでしょ?なおさら扱いに注意を払うべきなのに。


...あのお父さんは、なんで飛行機に乗りたくて、いつも何処に行って、いつ被曝して、なんで連れ去られて、なんで帰って来たの?まじで疑問。私の読解力!!(+"+;)。


世界中の人に普遍的な共感を求める映画なら、事件のあった国の人々の生活をちゃんと調べて克明に描くべき。
たとえ国や文化が違っても、そこに生きる人々のよろこびやかなしみ、貧しさがわかれば、私たち観客は寄り添える。事件の凄惨さ、痛さもわかる。
テキトーにあつらえたような、薄っぺら~い三角関係の人間模様とか、どーでもいーし(離)。
そこが「ミツバチ~」や「この世界の~」との違いかな。


ドラマがずさんで人物の誰にも感情移入できないまま、観客への要求(この映画を理解して!ちゃんと考えて!行間を埋めて!)がどんどん増してゆくので、私は正直、すっごく不快だった。


.....というふうに反感を持ってしまったので、
どうしてもひねくれた考え方しちゃうけど、
「核実験の犠牲者をモティーフにした映画なので黙って絶賛しろ」みたいな圧を感じる。
キノコ雲が映ったら、深刻に考え込まないといけないような、何か感じ取らないといけないような強迫。
でも、放射線障害や外部被曝の描写はウソくさいし、ちゃんと調べて映画つくってるのかな。

この監督は、本気で悲劇を伝えたいのか、Art風映画を撮りたいだけなのか、判然としない。
作家性を誇示したくて核実験ネタの映画を撮りたいなら、不誠実な創作行為だと感じます。