ゆーきゃん

エレファント・ソングのゆーきゃんのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

グザヴィエ・ドラン、イケメンで映画も撮れて演技も巧いというのはどういうことなのか。

かつての妻をけなされて激情する院長も、マイケルを案じ娘を想う婦長も、人を愛する人間だ。
人を翻弄し騙しおちょくっているように見えるマイケルも、実は主治医を愛しただけの、純粋な人間だった。
プラトニックな愛を向けられ、触れてもらえぬ苦悩に耐えきれずに、彼は死を選んだ。彼を殺すことができるのは彼を知らない院長だけ。院長に計略を仕掛ける。しかし院長の中ではそのわずかな時間に確かに愛が生まれていた。マイケルへの愛。初めて愛された人間に、触れてほしかっただけのマイケル。周囲を騙すのは心が泣いているから。そうしないと辛くて耐えられないから。かなしい。
報酬はチョコレート。それは少年の可愛らしいわがままなどではなく、死に至るための毒薬なのだ。
主治医に、なかないで、と語りかけるマイケルはかなしい。彼の死を挟んで涙を流した、かつての夫婦はきっとずっと愛し続けるだろう。