てんさん

ズートピアのてんさんのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
3.5
アニメーション且つかわいい動物たちというポップさを傘に、今現在起こっている社会問題を突きつけてくるかのような作品。

というより完全にこれはズートピア=アメリカ合衆国ですね。しかも大統領選付近に公開しているあたり。攻めたなディズニー…ってのが率直な感想です。笑
今どこかの誰かさんが「ポピュリズム」という戦法を使っているけども、結果的にそれに待ったをかけているような作品かな。

多様性に富み、皆が違いを認め合いながら楽しく暮らす国と謳われるズートピア。
しかしその実態は動物の種類によって職業が分けられ、その動物のイメージによって入店を拒否される店がある。
市長は百獣の王であるライオン、副市長は弱い動物の支持を集めるためという理由だけで羊が据え置かれる。
警察官には腕っ節の強い動物しか選ばれず、ひ弱な動物は郊外で農民のような生活を送る。
表には出さなくとも市民の誰もが、性差別と人種差別を潜在意識の中で抱いている。
まさに多民族国家アメリカを表しているようではないでしょうか。笑

「無意識のうちでの差別」。これがなによりも本作で重要なテーマとなっています。
本人はそんなつもりで言っていなくとも、知らず知らずのうちに誰かを傷つけていることがある。
差別する側もされる側も、要は紙一重なんですと。皆どちらの側面も持ち合わせているんですと。そんなメッセージが入っているように感じました。
てんさん

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