人間のように言葉を操り、人間社会のような生活を営む動物たちが暮らすズートピアの物語。
どうしてもモヤモヤする所があるのでそこだけ書いておこうと思う。
「草食動物というマイノリティで弱者に属するジュディにも、マジョリティで強者である肉食動物のニックに対して偏見があった」
という一見いい感じのメッセージがこの映画には出てくるのだが、私はこれにとても違和感を感じた。
結局なんの解決にも至っていないし、むしろ、マイノリティ(弱者)の声を緩く綺麗に押さえつけているようにも見える。
現実世界の社会運動でいえば、black lives matter に対する all lives matter の主張と同類ではないだろうか。
ズートピアの描き出す世界観とその発想力は本当に凄いと思う。
だからこそ、「ジュディが圧倒的弱者の立場に置かれていた問題(ジュディがニックを怖がった理由)」を無視して "なんかいい感じに終わった" ことが気になってしまった。
ただ、同じ哺乳類とはいえ、草食or肉食などの大きな生物学的差異を持った動物に、人間社会の問題を置き換えて表現するのはこれが限界だったのかなとも感じた。