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レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-のnickyのレビュー・感想・評価

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2018年の米国連邦議会下院議員選挙。ニューヨーク州第14選挙区の予備選挙で民主党現職候補クローリーを破ったアレクサンドリア・オカシオ=コルテスをはじめ、巨大な富と権力を持つ現職議員の対抗馬となった女性新人候補4人を追ったドキュメンタリー。

4人をはじめとした新人候補達には、後ろ盾となる大きな権力もなければ資金力もない。オカシオやジーンのように、自身の支持政党に属する現職候補とだって対立する。それでも彼女たちは、"公立学校の学費無償化"、"環境エネルギーの普及"、"国民皆保険制度の導入"、それぞれの公約を掲げ声をあげ続ける。
「現職議員の81%が男性」という政治の世界に、女性が足を踏み入れることの難しさを物語る数々も映し出される。ジーンは弁論前に「女は感情的になると小さく見えるから感情的にはなるな」とクソバイスされたこと、ヴィレラは「売女」と揶揄されたことを語る。極めつけは、クローリーがオカシオとの討論会に欠席した上 "代理" と称して女性市議を送り、結局市議が矢面に立つ羽目になる一部始終の映像。オカシオが男性候補だったらこんなことしたか? オカシオや市議だけでなく市民にも無礼で本当に虫唾が走る。

2018年の結果は「1人当選するのに100人の出馬が必要」というシビアなものだったが、決して無力ではなかった。実際、コリ.Bは2020年の下院選で見事に当選したそうだし、名もなき市民たちの活動が社会を動かしたのは紛れもない事実である。投票に行くと言っただけで「若いのに真面目〜」「なんか凄いね〜」と鼻で笑われ怪訝な視線を向けられるのも珍しくない日本の田舎で育った者としては、厳しい現実だとしても草の根運動が全国的に発展していく環境、そしてその様子をドキュメンタリーとして記録に残せる事が羨ましくなった。
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