イワシ

救いの接吻のイワシのレビュー・感想・評価

救いの接吻(1989年製作の映画)
4.0
フィリップ・ガレルの映画の印象は街を歩く男女の姿なんだけど、この映画には当時6歳のルイ・ガレルが加わりなかば動物的な運動を見せているのが微笑ましくも楽しい。土砂降りに見舞われても雨から逃げるというより三輪車をこぐ事そのものに熱中しているかのようなルイ・ガレル。

ブリジット・シィとルイ・ガレルが歩いていると目の前には鳩の群れがたむろしていて、ふたりが通り過ぎてもとくにあわてる様子もなく歩いてゆき、子供は母親に向かって残念そうに「羽ばたかないね」とつぶやく。その瞬間、母子の背後で一羽の鳩が飛び立つ。ここ最高。

アネモーヌが地下鉄の階段を駆け上がってブリジット・シィを訪ねる序盤のシーンで、アネモーヌが画面から去ったあともカメラはそこに止まり路上の水たまりにレンズを向ける。ふとカサヴェテスを想起。それか50年代のハリウッド映画。『拳銃の報酬』の序盤に似た感覚があった気がする。
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