horaAya

救いの接吻のhoraAyaのレビュー・感想・評価

救いの接吻(1989年製作の映画)
3.5
自分を他人に演じられるってどういう感情が沸き起こるのだろう。役者は役作りのために自分を観察したいと言う。観察の元形成されたスクリーンの向こうにいる彼女は間違いなく自分を投影した存在。自分が認識している自分という存在よりもあるいは正確な自分というものがそこに映るのかもしれない。その正確さという完全無欠な暴力が不確かで曖昧な自分を弾き出し唯一の居場所におさまる。

他者が演じる自分が正確であれば正確であるほど、これまで築き上げてきた自分というアイデンティティを奪われる恐怖へと繋がっていくのだろうし、「尊厳が殺される」ことになるのでしょう。確かにそれは「浮気」なのかもしれませんね。

「とったのね」→「まだ負けてない」→ラストの無言のロングショットへと順を追って展開していく変化からは、彼女の強い意志が伝わってくるようでした。
horaAya

horaAya