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バットマン:ダークナイト リターンズ Part 2のMASHのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

Part1・Part2 一緒にレビュー 

原作がとても気に入っていたので、今回はBlurayを購入。Part1とPart2それぞれ一時間半ほどしかないが、値段に見合う出来であったのか。

まさに素晴らしい出来であった。バットマンのアニメでここまで心が震えるとは思ってもいなかった。

まず良かったのは作画だ。アメリカのアニメは日本のアニメよりも作画が微妙という印象を持っていたので、ほとんど作画に関しては期待してなかった。しかし、いざ見てみるとその迫力と丁寧さに心底驚いた。特にPart1のミュータントとの殴り合いが素晴らしかった。バットマンの苦しみがこちらにも伝わってくるようだった。

音楽もまた素晴らしかった。バットマンの実写映画の音楽も非常に素晴らしいが、今回のアニメもまた素晴らしい。ダークかつ壮大な音楽はまさにこの作品の良さを際立たせている。

そして肝心の内容はどうだったか。もちろんこちらもほとんど文句無しの出来だ。若干展開が早すぎる気もするが、原作へのリスペクトを感じられる仕上がりになっている。

だが、今回の作品で最も良かったのはキャラクターだ。特にブルース・ウェインとジョーカー。この二人は実写映画の「バットマン」や「ダークナイト」以上に好きかもしれない。

ジョーカーはバットマンが引退した後は廃人のようになっていたが、バットマンの復活とともに復活。この完全復活した後のジョーカーはあのヒース・レジャースの演じたジョーカーよりも怖かった。人の命を一切気にせず殺していく様はまさに狂気そのものだ。

そして、主人公でもあるブルース。本当に素晴らしかった。Part1では過去のトラウマなどから逃れられず葛藤するブルースが描かれている。そして正義という名の狂気に飲まれていくブルースは見ていてゾッとする。Part2ではPart1ほど内面は描かれないが、ジョーカーとの戦いを経て彼がすべきことに気づく様子が描かれている。

そしてクライマックスでのスーパーマンとの対立。この作品を見て僕が感じたことは、この作品ではスーパーマンはリアリストでバットマンこそが理想主義者であるということだ。ここではスーパーマンは政府の命令のままに活動している。そうでないと無法者となってしまうからだ。しかし、バットマンは違う。バットマンが本当に信じていたのは正義などではなく人そのものなのだ。文字にするとくさくなるが、バットマンは人々が協力しあうことこそが最も大切だと信じている。孤高のヒーローであるバットマンが誰よりも人を信じていたのだ。

この作品はバットマンの復活劇やバットマンの最後というものではない。ブルース・ウェインという一人の男が自己を見つめ直し、新たな生き方を見つける物語なのだ。
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