すずき

トイ・ストーリー4のすずきのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.6
アンディからボニーの玩具となったウッディ達。
だが、いつもアンディのお気に入りだったウッディは、ボニーの下ではニ軍メンバーに格下げ。
そんなある日、ボニーは幼稚園の工作の時間に、捨てられていたゴミから小さな人形(?)フォーキーを作り上げる。
ゴミから生まれた存在だから、玩具としての意識が危ういフォーキー。
彼はピクニックの日に、車から飛び出して脱走してしまう。
フォーキーとボニーの中に、かつての自分とアンディの関係を見たウッディは、彼を連れ戻そうと自分も飛び出してしまう。
ウッディは冒険の中で、かつて離れ離れになったボー・ピープと再会する…

ピクサー長編アニメーション第21作。
巷では賛否両論の否が多めに感じた本作。
前3部作の完璧なラストに泥を付けられるのが怖くて、今まで見てこなかった私。
今回実際に見てみた感想は、一本の作品として見ると案外悪くなかった。
だが前3部作の続編として見ると、作らなくてもいい続編だったかな…。
だいたいのディズニー・ピクサーの続編に言ってるけど。
この時期のディズニー・ピクサーは「シュガー・ラッシュ」「アナと雪の女王」の続編も公開するが、どれもオチが似通ってるのも何だかなぁ。

この作品も、散々言われてる事だろうけど、前作のメッセージを否定するようなオチが良くなかった。
玩具は、いずれは子供に捨てられる、という哀しい結末が確定している存在だった。
いつか来るその日が来るまで、一途にも子供の健やかな成長を願い、精一杯に一緒に遊んでくれるのが、このシリーズの玩具たちだったのではないか。
だからこそ視聴者はウッディ達の姿に、いつの間にか押し入れにしまった、かつての相棒を思い、心を震わせる事が出来た。
それが「トイ・ストーリー」だった。

しかし本作では玩具にも、自ら選択して自由になる権利を与えてしまう。それでは心に響かない。
玩具目線に立って、彼らにも幸せになって欲しい、という制作者の気持ちも分からなくもない。
玩具を無くしてしまった子供に「どこかで幸せにやってるさ」と言ってやりたい気持ちも分かる。
時代によっても「正しい」とされる事は変わってくるけれど、それなら別シリーズや別主人公でやって欲しかった…。

人間に気づかれない世界での玩具たちのアクションは、本作のクライマックスでは人間世界に影響しまくる大胆なモノで、流石に一線を超えてないか?
一歩間違えば人死にが出てもおかしくない、もはや怪奇現象である。
エンドロールでも、人間の都合などお構いなし、玩具ファーストで好き放題やってるウッディ達。
きっと「トイ・ストーリー5」は、人間から玩具を解放するレジスタンスの話だな。