Ryoko

ナイトクローラーのRyokoのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.2
自己顕示欲が強すぎて、見た目も心も悪魔になってしまった男のお話。
コソ泥だった主人公ルイスが、ショッキングな報道映像を求めロサンゼルスの夜を這い回る。
面白かったけれど、とっても胸糞悪い。ジェイク ギレンホールの狂人演技が最大の見所だと思う。
頬がこけ、目だけはギラギラ。どこで学んだのかわからない薀蓄をさも持論かのように早口でまくし立てる姿も気持ち悪い。誰よりも早く過激な映像をおさめる為なら何でもやる。やっていることはモラルを逸脱しているなんてもんじゃない。もう犯罪の域!夜の街を駆け抜けるクレイジーな男を描いたといえば、「タクシードライバー」が思い出されるけど、トラビスのほうがいくらか可愛げがあったような気もする。
でもルイスも確かに常軌を逸しているんだけど、なんだか今の世の中だったら、ありそうだとも思ってしまった。「イイね!」ほしさにモラルに反した写真を投稿してしまう人も多いし、視聴率や話題性のためなら人の不幸もなんでもネタになってしまうし。
映画見ているときも、マスコミならやりそうだよねと冷静に考えたり、よしルイスもっとやれ、と思っている自分がいたり、「いや、おかしいでしょ」とハッと我に返ったりして、途中で何が正しいのかわからなくなって思考が麻痺してきた。なんとおそろしい映画。
そもそも刺激的な映像を求めてる視聴者がいるから、彼らのような人間がいるわけであって、偏に彼らだけをクレイジーと批判しきれないのが苦しいところ。

魅力的な人間もいないし、胸糞悪なんだけど、夜のロサンゼルスの描き方はとても気に入った。闇が冴える。そして犯罪が似合う。やっぱりこの街は映画の舞台にはピッタリだ。
あとチョイ役だけど、ビル パクストンが出てたのが個人的には嬉しかった。
Ryoko

Ryoko