安堵霊タラコフスキー

とうもろこしの島の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
4.2
川の中州にできた小さな陸地で老人と孫が農業に勤しむという題材だけで、さながらミレーの絵画のごとく味わい深く素晴らしいものがあったし、そこに紛争の中立地帯という設定も加えられドラマに深みが生まれていたのも良かった

それにしても裸の島もそうだが、人間が逞しく生きる様を極力台詞を排して描いた映画というのは、眺めているだけで感動を覚えてたちまち好印象を抱き、そんな映画が見られたことに心底嬉しくなる(この映画に関しては無常観溢れる切ないクライマックスも実に素晴らしい)

惜しむらくはこの映画がフィルムで撮られていなかったことで、デジタルでなくフィルムだったならそれこそ天国の日々やマルメロの陽光みたくもっと美しい作品になっていただろうと思うと出来が良いだけにとても勿体無く思った