ひでG

ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたちのひでGのレビュー・感想・評価

4.1
「壁を作れ!」と自国の利益だけを第一に掲げる大国のリーダーが就任した夜、私はこの映画をチョイスしました。

セリフや説明を極力避けた展開の後半、一瞬だけだが、3国の、少年ともうひとりの子供と赤ん坊、そして、ある人が境を越える。
心が通ったとか、許したとかそんな甘い言葉が飛び交うような甘い状況なんかじゃない。
終盤現れる別の立場のあの人さえ、みんなが戦争の犠牲者で、傷付きた心で生きている。
でも、分かり合えるなんて、ところまではいかないかもしれないけど、
でも、ほんのちょっとでも相手の事が心に写った時、
人は、「ボーダレス」になるのだ。

俺、まだお前のこと、全然わかんないけど、ここで一緒に生きなければならいし、生きていけそうだから、「バーダー」は
いらない。
壊れた船上に引かれたボーダーと外されたボーダーが船外の世界のボーダーをもイメージさせる。

戦争についての描写は一切ないのに、「もういい加減にして!」と登場人物と同じように叫びたくなる戦争の酷たらしさをこれでもか!と浮かび上がらせる演出も見事である。

それから特筆すべきはあの少年。まあ一度観てみて。凄い少年だから〜!

再び「ボーダー」ばかりの世界になってしまうのか。
自分は何ができるか、考える夜である。
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