やらかし村の子どもたち

スノーデンのやらかし村の子どもたちのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
3.2
ドローンオブウォーでも書いたけど、アメリカはシステムの一部である人間という部品の想定外の挙動が弱点。ここでいう想定外は、まず機密に触れる者は監視が必要ということは想定するが、その監視システムにも人間が組み込まれているのでそれも監視しなくてはらないということを想定していないということ。いや想定はしていても事実上キリがないし予算もないから実現不可能で、しかたなく祖国への忠誠心を焚き付けて自律に任せようとするしかない。

スノーデンの件は、まさにシステムの良心回路がシステム自身を否定する動作をしたという、アメリカならびに同様のシステムを考えている国々の政府に対して、二つの問題を突きつけた。
一つはテクノロジーの進歩によって監視社会になるという懸念(陰謀論好きな一部の人々の妄想とあしらわれがちなもの)が正しかったと国民に思わせたことによって、テクノロジーの番人が必要という世論が沸き起こると、税金という莫大な財力で築き上げたシステムを都合よく使えなくなるということ。もう一つはシステムの中の人間という不安定な部品をAIに置き換えて行くことで完璧なシステムにしようとしても、それはそれで人間によるコントロールができなくなっていくということ。つまりウォーゲームやターミネーター、アップルシードの世界観は現実になる可能性が相当強い。そのような物語は昔からいくつもあるが、ではさらにテクノロジーが進んで、人類にとっての脅威を全て取り除いてくれるシステムができたとしたら、世の中はどうなるだろう。戦争や貧富の差や犯罪はなくなるだろうか?きっと、悪知恵を働かせて反政府ならぬ反システムの戦いをしようとするだろう。さて、どこかの政府が今すでにそこに取り組んでいないと誰が言い切れるだろうか?

脚本4
演出3
映像3
俳優3
印象3