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フェラーリの運ぶ夢のくりふのレビュー・感想・評価

フェラーリの運ぶ夢(2012年製作の映画)
4.0
【クリケットの運ぶ絆】

イオンシネマで短期公開、と知り行ってきました。都内がない(笑)。で、アタリ!

お話はファンタジーぽいが現実味もきちんと挟み、直球で笑って泣けて空を見上げたくなる。終盤怒涛の涙づくしに胸焼けし、あまりに前向き過ぎて心がつんのめりましたが(笑)。

でも、例えば今の日本映画で、この素直な力強さは出せないでしょう。やっぱりインド力は貴重です。

『きっと、うまくいく』で気弱なラジュー役だったシャルマン・ジョシが主人公として成り立っちゃうってところで、インド娯楽映画としても珍しいのでは?

エプロンが似合う草食系パパ。でも、彼の演技だけで本作、おつりがくるほど素晴らしい!この男ルーシーの弱点には共感できるし、終わってみるとホント誠実だわ、と実感できる。素直に、正直っていいな、と頷いてしまいました。

で、さらに珍しいのは美女ヒロインの不在。一番活躍するのはマーロン・ブランドに似たごついオバサン。…実は全ての元凶なんですがいい味出してます。美女なしの飢餓感、不思議とありませんね。

おまけで、『女神は二度微笑む』の主演女優さんが、アイテムガールとしてセクスィダンスを披露していましたが。

『きっと、うまくいく』の関係者が多いんですね。ルーシーの父役はあの嫌な学長だったボーマン・イラニ。こっちでもシャルマン・ジョシを苛めるんですが、実は…『きっと~』を引きずったままの方が、この人物は味わい深いですね(笑)。

また、インド庶民の暮らしぶりがよく伝わってくるのがいいですね。そこにフェラーリが入り込む違和感もちゃんと出ています。

あとはクリケット!本作はフェラーリではなくクリケットのお話です(笑)。いかにインド人の拠り所になっているか、よーくわかりますね。ラストに登場する、ある競技場は、映像が静謐でさえありました。

しかしこうして振り返ってみると、直球過ぎて語る言葉がかえって、出て来ません(笑)。ただただ、インド映画が「当り前に持っているパワー」を実感し、映画館を後にしました。

ちなみにパンフ購入者特典で、サントラCDもらいました。CD…Rでしたけどね(笑)。配給会社?の手作りです。音楽もラテン調で珍しかったですが、ストレートな作風に見事に嵌っておりましたよ。

<2015.2.23記>
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