くりふ

神々のたそがれのくりふのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
5.0
【この惑星の住人は………きったねえぇぇぇ!】

凄いの、みちゃった。(当時)本年度ベストになりそうで、怖気。

初カットの純白雪景色と漆黒の無言池…引くとブリューゲル版画のような町並み…の美しさが只事でなく期待値MAXとなった後、地獄に叩き落される。

泥の惑星、吐瀉と排泄の宴。ウェット&メッシー粘液特盛。水と雨とゲロと糞尿の見分けがつかぬ世界。これぞスカトロ黙示録。恍惚となりながらもダメだこりゃ。

ロシアの暗黒史は反映されているのでしょうが、むしろ我々の未来を描いていると思う。このまま人心が鈍く濁り、社会の節々が衰えゆけば、こうなるだろうと実感として迫ってくる。

この世の地獄に自分が巻き込まれるならそれは、彼方から襲う天変地異のパノラマ感覚ではなく、このような狭い視界で汚辱に塗れ、見る間に腹を裂かれる激痛に沈むのではないか。

スクリーンからそれは体験として襲ってくる。「観察者」として呑気でいられるのは、映画に痛みがないからだけだ。

本作、何かを生んだり作ったりの生産的描写が出て来ない。せいぜい思い出したように音楽を奏でる程度で、只の気休め。邦題がいいとは思わぬが黄昏という言葉はド直球。

ここにあるのはグロ趣味の羅列ではない。あり得る世界の終わりの徹底「再現」。

これだけ骨が通り血肉巡る映画の屹立をみるのはいつ以来だろう。女子向けマーケ映画なんて撮ってるフニャチン監督は本作の肛門舐めて出直しなさい。

ところで、この惑星の住人は家畜だけ喰って暮らしているのでしょうか? あのドロドロ気候じゃ農耕は無理でしょうが。カニバリズムも平気でやってそうだな。『死霊のえじき』なみの内臓フォールも出て来るし。まあ、肉だけ喰ってるとああなっちゃうのでしょうねえ。

でも、野菜はないけど、花はある。これが映画ですよねえ(笑)。

グロ連打中にふ、と美が上書きされるから気が抜けない。首吊り死体にぶっかけられるのは汚水のようですが、そこに混じるのはどう見ても花弁。結果的に首吊り花見。これが本当に美しいから始末に困る。

かと思うと画面の何処かでダバダバ落ちてる液体が水か尿かわからないというこの可笑しさ。

で、物語は…さっぱりわかりませんでした(笑)。

でも不満がまったくないのがスゲエ。劇場で、あと最低一回は体験しておきたい。次は焼肉たらふく喰った後でチャレンジしてみようか。

言語化できない想いがアタマの中渦巻いており、も一回体験して少し落ち着かせたいと思います。

クラシックの名作で商売してきたIVCが配給ってところもびっくりですわ。

ちんこまんこにボカシ入れていないことはふつうにエライと思いました。

<2015.4.20記>
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