九月

ブラックパンサーの九月のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.0
これまで、キャプテン・アメリカが持つ盾に使われている世界最高硬度の鉱石ヴィブラニウムの産出国として名前だけ出てきたワカンダや、シビル・ウォーで突如アベンジャーズの仲間入りしたブラックパンサー。
一体どのような国、人物なのか…
それと一緒に、少しずつ明らかになってくるこの王国や王族の秘密。それらを追うような視点でこの作品を楽しんだ。

伝統と先端技術の融合。
それがストーリーだけではなく、音楽や衣装、セットなど全面から感じられた。
長い間、他国との関わりを避け世界から孤立してきたワカンダは、農牧業しかない発展途上国だと認識されているが、実は驚くほどの文明国だった。
自国で採れるヴィブラニウムの研究を進め、独自に科学や医療などの技術を発展させている。

シビル・ウォーで描かれた、ウィーンでのソコヴィア協定の署名式で起こった爆破テロに巻き込まれた前ワカンダ国王のティ・チャカ。父親の死により、思いもよらぬ形で新国王の座が回ってきたティ・チャラ王子。
ワカンダに戻り、王位継承のための儀式が執り行われる。
その儀式というのが、王座を狙う挑戦者からの戦いを受けるというもので、崖に囲まれた深い滝の上の水場で行われる。
特殊な液体を飲み、この戦いの間は一時的にブラックパンサーとしての能力は封印されるらしい。
相手の降伏か死をもって決着となるが、人の命よりも伝統を重んじているところにかなりの畏怖を感じてしまった。
しかしこの描写があったからこそ、ワカンダの変化の様子をより印象づけていた気がする。
この時は相手の降伏により儀式は終わり、誰も亡くならずに良かった…と安心したけれど、安心した分、そのあと再び行われることになった儀式のシーンの悲惨さが際立っていた。

社会的な意味合いやメッセージが少なからず感じられたので、楽しい気分だけで観られたわけではなかったけれど、新たなヒーローの誕生(復活?)にワクワクした。
女性たちの活躍も描かれていて、特に妹のシュリが機械を使いこなしている姿は見ていて楽しい気持ちになった。

最後は、そういえばティ・チャラの手引きを受け、ワカンダの施設で冷凍され眠りについていたバッキーが登場。ワカンダの衣服を身にまとい、地元の子どもたちにはホワイトウルフと呼ばれている。
洗脳が解けた、もしくはその方法が分かったということなのか。
九月

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