風の旅人

アベンジャーズ/エンドゲームの風の旅人のレビュー・感想・評価

3.5
正義とは何か?
すべての人を救いたいという「理想」を掲げるアベンジャーズと、それを偽善だと看破するサノス。
増え過ぎた人口によって崩れた宇宙の均衡を保つために、宇宙に生息する生命の半分をランダムに消去するサノスの行いは一見正しいように思える。
しかしサノスは絶対を志向し、自らがサイコロを振る役を演じる。
逆にヒーローは自らを犠牲にしても、目の前の人を救おうとする。
損得ではなく、そうせざるを得ないのだ。
ヒーローは個人の感情から自由になれず、誰も見捨てられない。
大義のために家族を犠牲にするサノスは間違っている。

本作はチートキャラであるキャプテン・マーベルの出番を減らし、アイアンマンという最も人間臭いヒーローにスポットが当たっている。
それはヒーローが出自によってではなく、高潔な精神によって「なる」ものであることを強調する。
「私はアイアンマンだ」という台詞には、ヒーローとしての覚悟が表れている。

単体作品としての完成度はそれほど高くないが、シリーズの集大成としてはこれ以上のものは望めないだろう。
メビウスの輪のように本作から過去作に遡るという楽しみ方もできる。
風の旅人

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