ククレ

スポットライト 世紀のスクープのククレのレビュー・感想・評価

3.3
アカデミー作品賞だったけど、あまり覚えてなかったからあえて今、見直した。理由は後述。

カトリックの神父による児童への性的虐待と、それを隠蔽しようとする巨大な教会組織と闘うジャーナリストの話。被害者は千人以上なのに、作品中に子どもが一切出てこないことに驚かされる。回想シーンなどで虐待を受けるシーンを表現することはなく、あくまでもセリフで説明しているだけなんだな。

だから、展開に抑揚があまりなくて淡々としてる。そして、意外に教会サイドからの圧力や執拗な嫌がらせを受けることもほとんどなくあっさりとしてるから、ラストのカタルシスもあまりなかった。私は日本人で、アメリカ社会におけるキリスト教文化についてはほとんど知らないから、事の重大さについてピンとこないからか…。でも、凄まじい反響があったんだろうな。この映画がアカデミー作品賞をとることで、教会の腐敗を世界中に知らしめたのだからとても意義がある。

ただ、今の日本で同じようなことが起こっている。「ジャニー喜多川氏による性的虐待」をBBCが明らかにしてるのだ。そしてそれらを全くと言っていいほど、テレビや新聞では報道しない!
これは、ヤバイですよ。当事者は亡くなっているのに未だに明らかにされない。教会に比べたら芸能事務所なんて…。

この国にはこの映画のようなジャーナリストはいないのか?何に忖度しているのか?外国からのスクープでやむを得ず報道に至るようなことにならないように、日本のジャーナリズムの矜持と自浄作用で早く明らかにしてほしい。
ククレ

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