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スポットライト 世紀のスクープのhabakariのレビュー・感想・評価

3.5
2008年アカデミー作品賞を獲得した『ノー・カントリー』は、絶対悪を設けることでアメリカの正義に猜疑の目を向けた。
8年後、仮想敵を作らずに社会システムの欠陥を自己批判した本作がオスカーを受賞したのは、必然だったのかもしれない。

スポットライト・チームは決して英雄ではない。20年前の訴えを無視した加害者でもあり、無意識に社会に隷属してきた犬でもある。目の前にある欠陥を無視し、それが正しい姿であると思い込もうとした。町の住人もまた……。

リーヴ・シュレイバーの台詞が本作のアティチュードを如実に現す。
「ジャーナリズムは暗闇を歩くことであり、それが正しい道かどうかは光が差して初めてわかる」(うろ覚え)

本作が描くのは正義の再構築であり、その意味で『ズートピア』とともに2015-16年のアメリカを代表する作品であると思う。
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