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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
動いてる麒麟、初めて見た!

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世界で唯一の魔法動物学者ニュート。恩師ダンブルドアに請われるまま、寄せ集められたチームで、史上最悪の魔法使いグリンデルバルドに立ち向かう。大ヒットファンタジー映画シリーズの第三弾。「ハリポタ」から連なる魔法ワールドシリーズ第11弾。

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1度目は前作の記憶が朧げのまま鑑賞しちゃったので、時間を置いて前作を復習して2度鑑賞。予習復習大事&記憶の悪さに老化を痛感。

作を重ねるごとにダークさを増す今シリーズ。3作目ともなると、第1作の魔法動物王国ドタバタコメディ色はすっかり失せて、現実の社会問題を反映させた暗く思い物語になってきた。てっきり三部作で、今作が最終作かと思ってたら、J.K.ローリングは五作目まで構想できちゃったらしいので、どうやらまだ続くらしい。

ダンブルドアとグリンデルバルドの対関係を象徴的に、双子の麒麟・鏡の中の自分…対関係や鏡像関係が随所に配されてる。敵対と共闘の関係性や、引き裂かれる自分の内面の描写として利いてた。
中でもダンブルドアとグリンデルバルドの敵対しつつも愛し合う関係性に象徴されるように、互いに引き裂かれる内面の姿の描写として利いてた。


翻弄されるクイニーとジェイコブ。前作での別れ方が悲劇的すぎたので、ヨリを戻るのはめでたい。が、ものっそいあっさり。クイニーの実姉ティナに至っては、今作だと全く出番がないのがちょっと残念だった。密かにニュートに想いを寄せる秘書バンティが、自身の想いに決着をつける別視点ロマンスとしても泣ける。俯瞰するとアルバスとゲラートの関係から、クイニーとジェイコブ、ニュートとティナ、リタとテセウス……いろんなカップリングがあるけど殆ど成就しない悲恋ばっかり描いてる。「さよならだけが人生さ」とばかりに道を違えて別れてばかりの物語にあって、三作目にきてまた道が交差する物語に収斂してくのが興味深い。

今回、魔法動物たちの活躍が少ない中で一番印象的だったザリガニみたいなアイツ(マンティコア)。あんなキテレツなダンスで騙されてくれるなら、魔法で切り抜けられそうだけど、ニュートはあくまで体を張って切り抜ける。なんかこう…ニュートに昭和の芸人イズムを感じちゃう。それにしても、マンティコアって調べたら「ヒトの頭・ライオンの胴体・サソリの尾」の動物らしいけど、劇中のそれはほぼ甲殻類。発想が自由すぎておもろい。
登場する魔法動物が少ない分、それぞれの活躍がいっぱいあって楽しい。もはやニュートの相棒となったニフラーとピケットの凸凹コンビの愛らしさったら、もう。


色々あってジョニー・デップからグリンデルバルド役がバトンタッチされたマッツ・ミケルセン。キャスト交代した影響を感じさせないばかりか、人身掌握に長けた政治家・戦略家としての側面にググッと説得力が増してる。マッツが最高すぎて、今作を契機にマッツ沼にハマる人続出してるのも納得。ジュード・ロウとマッツが互いに想い合う様が、友情を超えた関係として描いてて、同性愛ってあいより全性愛(パンセクシャル)の人っぽいバランス。あえてイチイチセクシャリティに踏み込んで描かず、周囲も当然のこととして受容してる感じも良かった。

エズラ・ミラーは私生活のハチャメチャさが祟って、今後のシリーズ参加が不透明。余命短い描写もあったので、しれっと消えてもおかしくない。や、このままハリウッドから消えてしまう可能性もある。虚実の皮膜を超えて「オブスキュラス」の闇の力にのまれてしまったみたいだ。



欲を言えば、もっとこうサントス候補の優れた部分が見たかった。優秀な人なんだろうけど、他候補より具体的にどう優れ、優しい人なのか。終盤のある行動に表れてるだけなので、もちょっとマニフェスト的なモノを聞いてみたかった。


余談)
今作のキーアニマルだった麒麟。その子供ってことは麒麟児が今作のマクガフィン。麒麟児が二匹ってこともあって、どうしてもキリンジの堀込兄弟が脳裏に浮んでしまった。なんとなくキリンジの物語としても見てしまった。


25本目・32本目
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