こばまさ

ハン・ゴンジュ 17歳の涙のこばまさのレビュー・感想・評価

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)
3.7
久しぶりの韓国タイム。
しかも、ずっと観たかった作品がいつのまにかアマプラに来てたー!
でかしたアマプラ、ありがとうアマプラ。
そんな訳で、チョンウヒマン、いっきまーす!


-17歳の少女・ハン・ゴンジュ(チョン・ウヒ)
中学生の時に起きた集団暴行事件のせいで家庭は崩壊し、転校を余儀なくされる。
元担任の母の家に居候しながら、新しい生活を始めるも、学校にも馴染まず友達も作らず目立たない様に日々を送っていた。
ある日、彼女の歌声を聞いた同級生ウニ(チョン・インソン)がきっかけとなり、合唱部の同級生たちと仲良くなっていく。
ようやく自分の居場所が見つかったと思った矢先、彼女に待っていたのは…-

“…あいつら全員死刑じゃ”


韓国で2004年に起きた、密陽女子中学生集団性暴行事件を描いた本作。
もう、鬼畜というか…言葉が出ない。
文字にするのも嫌なので、気になった人はWikipediaで調べて下さい。
本当に、その内容そのものも残酷過ぎるけど、その後の対応というか、全てにおいて納得のいかない事件です。

胸糞作品自体、そんなに数は観てないけど、韓国作品に関しては色々観てきたつもりのワタシ。
同じ事件を題材にした『マリオネット』と『母なる復讐』は鑑賞済だったし、この作品もストーリーは分かっていたのに…
その描き方の絶望感が、それらの比ではなかった。

どんな胸糞作品でも、主人公に対して誰かしら寄り添ってくれたり、支えてくれる人がいるのが相場。
しかし、この作品はその存在がほぼない。
唯一、彼女の転校と住まいを用意した元担任は善人なんだろうけど、そこ止まり。
新しい学校で友達になりかけた同級生達も、ハン・ゴンジュの過去を何も知らなかった事が致命的となる。


この作品の受け取り方って、すごく難しい。
こんな事があったんだよ?こんな事が許されていいの?って問い掛けるなら、なぜ被害者が苦しんでいるだけの内容にしたのか。
もっとこの事件に対して、訴えるべき明確な描写があって良いと思った。


マイナスな点ばかり書き殴りましたが、ワタシが思うこの作品の評価は一点のみ。
そう、チョン・ウヒの存在感。
この年の青龍映画賞で主演女優賞を受賞したのも頷けるほど、素晴らしい演技でした。
『愛を歌う花』で知ったけど、彼女は本当に歌が上手い。
そして、『哭声』や『笛を吹く男』なんかで見せる陰のある表情や仕草、そして芯のある女性の表現が見事だった。


あと、これは観る人によって分かれるとは思うけど、過去と現在を境目なしに描く手法はなかなか斬新でした。
正直言って最初は観ていて若干分かりにくかったけど、ここまで自然に過去の場面を挿入させるのって、今まであまり観たことなかった。

ほんと、どこを切り取ろうと救いがないし、こんなに嫌な気持ちにさせる映画も珍しい。
それもこれも、ラストシーンの余韻のせいなのか。

あのラストを絶望と取るか希望と取るかは、あなた次第です。
こばまさ

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