佐藤でした

ヘイル、シーザー!の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

ヘイル、シーザー!(2016年製作の映画)
3.4
1951年のハリウッド。スタジオの命運を左右する超大作『ヘイル、シーザー!』の撮影中、世界的大スターの主演俳優ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が誘拐された。事件解決を任されたスタジオの“何でも屋”エディ(ジョシュ・ブローリン)は、お色気ムンムン若手女優や、みんなの憧れミュージカルスター、大根アクション俳優らを巻き込みながら、難事件に挑む…!

はーあ。
劇場で観た作品くらいはレビュー頑張りたいなって思ってるのに、わたしの筆致ならぬタップ致を大いに止めてくれる。さすがはコーエン兄弟。(何様&何それ)

まずこのポスターが、ハッタリであることに序盤で気付きます。左から、テイタムさん・クルーニーさん・ブローリンさん・ヨハンソンさん・ヒルさん。この5人全員がそれぞれ活躍する物語ではありません。なんならチョイ役の人もいます。

わざわざ“オールスターが集結” “豪華共演”などと謳い上げるこの感じ (ちなみに日本もアメリカも同じデザイン) に、違和感を覚えましたが…
なるほど、このミスリードこそコーエン兄弟の意図したことではなかろうか!

なにせこの現代に、黄金期のハリウッド×共産主義×キリスト教の大三角形で攻めてくるわけですよ。なになになにと勘ぐりたくもなるってもんです。

この物語の主人公がジョシュ・ブローリン扮するエディであることが第一のミソ。彼は“なんでも屋”ですから、スターが関わる隠し子問題から殺人事件までなんでもうやむやにすることが可能です。そんな彼を介して業界の内外が見えてきます。

彼が血眼になって東奔西走し「映画の世界を綺麗なものに見せよう」としてつく嘘は、決して悪いものではない。“夢物語” “綺麗ごと”だけで塗り固められた世界があったってよいではないか。ってなもんで。

どちらにせよエディもコーエン兄弟も“映画愛”に満ち満ちているのは同じです。

つまり“キャストが豪華!踊るチャニングが見たい!”とアホ面で食い付いてきた観客(←私)にこそ、、コーエン兄弟は伝えたいのです!
「映画を見よ!いいもんだよ!」と。

…本物のシネフィルっていうんですかね。参りました。
佐藤でした

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