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スーサイド・スクワッドのRYのレビュー・感想・評価

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)
3.2
肩透かしな激闘忍者大戦

DCコミックスのバットマンが活躍する世界で、投獄されている悪党たちを集めて戦力とする計画が立ち上がる。突如勃発したテロ事件をきっかけに彼らは危険なミッションへと向かうことに…
というお話なんですが、

・絵はめっちゃ良いです
→アメコミ調とネオンを足したアイコンが、裏社会の輝きを感覚的に訴えてくる演出は痺れます‼︎
・キャラたちも決まってます。
→設定が魅力的なキャラが多いです。演技もみんな素敵でした。格ゲーで使いたいです。
・スケールもでかいです。
→歴史をハムナプトラばりに越えます。もはや途中からハムナプトラ見てるような気分になりました。

↑これだけを丸ごと楽しむ!という風に観れれば、「痺れるーっ」てなって終われるんですが、やっぱりキャラがいるからにはストーリーがあるし、敵がいるからには戦い方ってものがどうしても見せ場になるよねぇという感想でした。

このお話の一番の魅力は、正義目線で見るとどうしようもなく悪者な敵たちが、とがったまんま集められて何かと戦うという、そのシチュエーションにあると思います。そして、そのシチュエーションが与えられたときに観る側が意図せずとも期待してしまう点が2つ。

1.どうやってこいつらとんがり悪党がチームになるの?
2.バラバラな悪党たちの個性が噛み合ったときの、敵を倒す衝撃はいかに!

だと思うんですが、その辺りだいぶ緩かったというか、チームになる流れも印象的ではなかったし、決戦での役割分担も劇的に噛み合っているとは言い難かったです。
そして登場人物たちそれぞれに見せ場があったのは良かったんですが、そこがピークでいいのか⁉︎というところが多く、もっと別のところにピーク持ってくればいいのに!という焦ったさ。
この技を使うところから考えたでしょ…とか、このシーンから先に考えたでしょ…みたいな風に考えてしまってそこが残念でした。

キャラの紹介が先行していてストーリーはおまけなんじゃないかという。だとしたら悪党集めちゃった意味が無いんですけどね。

敵の強さはよく分からなかった。異常に強い感じで描写され続けてたけど戦いはそんな感じなのか、みたいな。

アメコミの集合ものという切り口では、無印のアベンジャーズもこちらとちょっとだけ共通してる難しさを抱えていると思います。それは敵が壮大であればあるほど登場人物たちのパーソナリティがどうでもよくなってしまうという問題。
自然災害が起きたときに個々の登場人物は怒るにせよ悲しむにせよ距離を置いた関係しかとりようがありません。
とすると、敵が自然災害並みの脅威(ほぼ無差別に害を与えてくる存在)だった場合、やはり敵との関係は発展せず、内側の葛藤に向きあうしか道がなくなります。
アベンジャーズではチタウリとの戦いそのものにストーリーとしての見せ場はなく、卓球のラリーのように技術や凄みの見せ合い(映画ならキャラの技の見せ所)を追求するしかない。
この辺りの解決策として、アベンジャーズでは手前にヒーローたちの仲違いを置き、戦いそのものを結集の場に据えるということをやり、その上で最終場面にはロキという人間性を持ち込んでます。

本作はそういった一捻りがないままに最終局面を迎え、見ている側的には不完全燃焼感があったのではないか、、という想いです。
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