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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのRYのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

誰でも一度は考えたことがある「もし別の人生を歩んでいたら」という空想・妄想がベーステーマになっているホラーMCU作品。

ドクター・ストレンジが中心なだけに派手に世界が壊れたり再構成されたりみたいなアトラクションチックな戦闘シーンは踏襲されつつも、随所にホラー演出が垣間見え、終盤にむけてどんどんホラーまみれになっていく。

鋭い演出だったり、今を最上に生きる苦しみと幸せだったり、扱われる題材はどれも面白かったけれど、どうしても個人的にしんどかったのが他の宇宙とそこに暮らす人たちが軽く扱われてしまってるんじゃないかと感じた部分だった。
マーベルおなじみのキャラクターたちが演者のサプライズとともに登場してくれたのは嬉しかったけれど、その後の展開は雑だったと感じてしまった。"雑"というか、それぞれのキャラクターが人物としてではなく演出として扱われてしまっているような感覚を受けた。
(デスノートの続編映画みたときの感覚にかなり近かった。)

ワンダの恐ろしさ(想定を超える恐怖が問答無用に近づいてくること)がそのままホラーに直結するので、ホラー演出という点ではあちらの世界線のキャラたちが次々に惨殺されていく絶望というのは描きたいことだったんだろうけれど、
キャラの死を慎重に描くことが多かったMCUだからこそ、なおのこと軽さというかこっち側が無事ならいいのか?みたいな気持ちにもさせられて、ホラーとは違う意味できつかった。
マルチバース展開が進むと本筋と違う軸の世界はああいう扱いになっていっちゃうんだろうか……世界が壊れることもその世界の人々がいなくなってしまうことも、「恐ろしいもの」を記号的にあらわしてる以上のものを受け取れなくて残念だった。
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