1981年のNY。犯罪と暴力が氾濫するこの年に、クリーンなビジネスを信条に石油会社を築きあげた移民のアベルとその妻アナ。
事業拡大のための土地購入の頭金として全財産を投入した直後、彼の成功を阻止する何者かによって、積荷のオイルを強奪され、さらには脱税の疑いまでかけられる。悪い噂は広まり、銀行の融資まで断たれてしまうが、残金の支払い期限はわずか30日と迫る…。
オスカー・アイザック、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」に引き続き【なかなかの見当違いをしながら極太の我が信念を貫く男】がよく似合う。
社会の裏とも表とも絡まなけらばやっていけないであろうオイルビジネス業界で、正統性とか、努力とか、真実という言葉で真っ向勝負するアベルは、的外れの頑固者にしか最初は見えない。
【金】という結果以前のクリーンな【プロセス】を大事にする彼は、やられても報復の道を選んだりしない。
相手からすると、目には目を歯には歯を…とやり合ってくれればまだラクなのに、アベルは「なんでそういうことするの!ねぇ!ねぇ!」としつこく言い寄るタイプ。実にウザいし、めんどくさい。
しかし最後に生き残るのは、彼のような
一貫性をもって誠実な仕事をする人物なのかもしれない。いや、そうであって欲しい。と、最後には思えるのでした。
自分の中で新鮮だったのが、いわゆる“ドンパチ”場面に現実味を感じたこと。
これは
攻撃の道具なのか
防御の道具なのか
どちらかが持ったら最後なのでしょう
そういう意味で、銃社会に全く無縁のわたしにも意味のわかる銃撃戦だった気がします(それ以前の銃の所持に関する論争も含めて)。
…ちなみに、アベルが着ているキャメル色のロングコート、ずいぶん生地が肉厚ですね〜〜と思ったらアルマーニのオーダーメイドなんですね〜〜(震)