庵野監督は自分がやりたかったことを体現するのに、ゴジラのビッグネームを借りることで広く世間に注目され、興行としても成功を収めようとしたのだと思う。
この作品に登場させる、人類にとっての脅威は必ずしもゴジラでなければいけないという訳ではないが、ストーリー構築と集客の為に最適だったということだろう。
故に本作を純粋なゴジラ映画と呼ぶことには抵抗があるが、制作スタッフ陣と制作会社である東宝にとっておそらくウィンウィンの関係だったのだろう。
人類が未だかつてなかった惨事に見舞われた時にどの様な行動をとるのか、日本を舞台に描く。国家レベルの危機管理対策を客観的にシミュレーションし、縦割り型行政の弊害をユーモラスに揶揄している。
この視点はとても面白い。実際このようなまどろっこしい手続きや型にはまった御作法があるのだろう。いかにも面倒くさい世界であり、私にはこのような才覚は全くもって見出せないだろう。
政治は意外にも若手の目に見えにくい働きの功績が大きいように思えた。もし現実もこうならば、日本の未来はそう暗くないかもしれない。
出演者も名の知れた役者陣がずらりと並び豪華さを感じる。
このテイストでもう一本くらい続編が出来ると嬉しい。ゴジラは無理(?)だろうから、題材選びが大変だろうか…