ゴジラといえば54年版、怪獣映画に思い入れなんてないけど、庵野エヴァには秘めたる思いを抱えている、そんな私のシン・ゴジラ。
単純に活劇として素晴らしいと思ったし、ジャパニメーション全開なショットのダイナミズムにも逐一うっとり、全体とても面白かったと言わざるをえないのだけど、そこかしこに香りたつエリーティズムの苦悩にはちょっとうんざり。
結局は善良な知性への信頼が根幹に感じられて、どんな蛇足も逸脱も拡大する文脈の彼方に溶けていってしまうので、観終わった後、実はこの映画の中には何も残ってないんじゃないかという気にさえなる。
正直いってもっと崩壊した文法、破滅的テクストが見たかったのだ私は。思い入れのないなりに一応腹決めて、こっちは怪獣映画を観に行ったのだから。
とりあえずあの映画の中に碇シンジは1人もいなかった。それってなんか寂しいことじゃない?