0gm64r2

シン・ゴジラの0gm64r2のレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.5
たのしい。たのしいです。

サイエンス・フィクションであり、ポリティカル・フィクション映画でもあります。ゴジラと人間の戦闘はもちろん、制度と法律の制約を受けながら奔走する、政府と行政の様子はすごく迫力(説得力)がありました。未曾有の災厄に際した場合の、ひとつのシミュレーション映像でもあるのではないかと思います。多くの諸官庁が制作に協力する一方で、彼らにとっても資料的価値のある作品になっているのではないでしょうか。

先述のとおり、非現実の象徴「ゴジラ」に対してリアリティを持たせているのが、現行の「制度」や「機構」です。実際にはありえない存在に、生身の人間が自分たちで形成した枠組みの中で必死に対抗しようとする、このコントラストがすごく鮮烈でした。その反面、作中世界においては、「ゴジラ」が現実の危機として迫る中、「制度」という虚構が対策行動を阻害するという構図になっています。こういったあたりは、ほんとうに思わず唸ってしまいます。よくできているなあ、と。

この映画の各シーンと、現実世界で起きた事故や事件との関係が取り上げられることもあるでしょう。映画評論家やゴジラ・ファン、エヴァンゲリオン・ファンの方たちだけでなく、多方面のジャーナリストらも、本作の解釈論争や批評合戦に引きずり出されるか、しゃしゃり出てくるかするのでしょう。それを狙って、なのかどうかは分かりませんが、作中のエピソードの数々には、裏設定の存在や憶測を喚起するような仕掛けが盛りだくさんになっているようにも見えました。まるで、クリア後のやりこみ要素のように。

ゴジラが今回破壊する街は、なんといっても私たちの地元日本です。屋外シーンはどこもよく見知った場所ばかりです。クライシスを扱う映画のステージが身近であるだけで、こんなにも興奮するんだと、ゾクゾクしました。(ニューヨークやロサンゼルスの市民のみなさんは今回お休みです)

わたしは、エヴァンゲリオンをあまり見たことがありません。もし、そうでなければ、さらに楽しめたかもしれませんが、それを割引いても、非常にワクワクする映画でした。
0gm64r2

0gm64r2