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ジョーカーの0gm64r2のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
2.8
主演の演技は素晴らしいですが、不遇の人物が悪に染まっていくストーリーには特に新規性がありません。新規性が必ずしも重要だというわけでは決してありません。オムライスを一度食べたことがあるからといって、すべてのオムライスを二番煎じの駄作とはいえません。材料の選び方や味付け、盛り付け次第で同じ料理でも評価はがらっと変わるものです。
ところが、この作品はそのストーリーが評価され過ぎているような気がしてならないのです。

アーサーがジョーカーとなるその過程において、悲惨なエピソードや凄惨なシーンが織り重ねられているので、重厚感や複雑さを醸し出していますが、よくよく考えるとそれほどでもありません。むしろ重苦しさや感情の起伏に対して、筋としては「シンプル」と言ってもいいくらいです。
それはもしかすると、多くの人にとって一定程度以上共感できる点が複数あるからかもしれません。
そういう意味で、全く現実離れした物語、ということはないように思います。MARVELの目指すところと真逆だと言えるでしょう。

本作をフィクションとしてとらえて、感動したとかなんだとか言い募って、こういう苦しみや悲しみを抱えた人が実はすぐ近くにたくさんいるかもしれない、あるいは自分自身のひとつの側面かもしれないという現実を見る目が曇ってしまうことが恐ろしいと思います。


以下は、日本人があまり知らない現実の事件が下敷きになっていることを紹介しつつ、批判的に評価したWIRED誌のレビューです。
https://wired.jp/2019/11/02/joker-is-a-viewing-experience-of-rare-numbing-emptiness/
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