日本のシンドラーと言われた杉原千畝さんの自伝的映画。2139人の行き場のないユダヤ人の方々に外務省方針に背きながら、ビザを発給し続けた。そのお陰で生きながらえた子孫は4万人に及ぶ。
その偉大な功績は間違い無いのだが、映画として面白いか、胸に迫るかと言うと、役者陣の演技や冗長な展開で今一歩、感動まで至れなかった。
領事館の前で大勢が待つ。千畝さん悩む。ビザ発給する。このプロセスの中でカタルシスを作るのは難しいことだとは思う。
唐沢寿明さんは真摯に演じているのだけど、唐沢寿明さんが演じているという感じ。外交官の妻役として、小雪さんはよく似合う。昔、話したことがあるのだけど、初対面で「○○さんて名前素敵ですね」と言われ、そういうことサラリと言って違和感無い方だって驚いた。麗しくも気さくな自然体の方でした。
杉原千畝さんの全てを失っても構わないと、信念を貫く矜持と覚悟が本当に凄いことと思う。
老いた千畝さんがモスクワを訪れ、居場所を見つけたのですね?と訊かれると、今でも世界を変えたいと思っているんです、と答える。
居場所よりも大切なこと、それが自分にあるだろうか? 小さい一手でも世界に何がしかを与えたいと思っているだろうか?見終えてから、それを何度も反芻している。