ちろる

ミストレス・アメリカのちろるのレビュー・感想・評価

ミストレス・アメリカ(2015年製作の映画)
3.8
ノア・バームバック監督のパートナーでもあるグレタ・ガーウィグルが出演しているせいか、安心感抜群でこの絶妙な空気感が見事に成り立っている本作。
いやーゾワゾワするのになんかめちゃくちゃ楽しい。
スカッとするわけでなくてもなんか清々しい。
間違いなくこれ観たらグレタの演技やっぱいいわ〜って言葉が出てきちゃうそんな作品で、彼女が主演を務めた「フランシス・ハ」も好きだけど、トリッキーな感じのこちらも良い。
ちなみにヒロインはグレタではなくて、ローラ・カーク演じる18歳の大学生。
賢いのだが、なかなか大学に馴染めず、いい感じの男とも付き合えず腐ってしまいそうな時に母の勧めで同じニューヨークに住む義姉ブルックと連絡を取り始めるのだが・・・
明るくパワフルで、何よりニューヨークならではな生活をしているブルックに惹かれつつも三十路でまだ自分探しをしてるブルックをどこか冷静な視点で見つめるトレイシー。

このブルックをひたすら泳がせちゃうトレイシーとか、占い師とか行ったり元カレのところ行くブルックのとっ散らかった暴走っぷりの見せ方は辛辣だし、それらをひたすら見せる後半はとにかくカオスすぎるのですが、どちらかというとコメディタッチだったのでたまに笑わされながら楽しめました。
作品としてはこじらせた女たちを決して馬鹿にしてるわけではなくて、出会いや別れ挫折や裏切りなんかも経験しながら奮闘する人たちへの女性賛歌のような仕上がりなのがいい。
ニューヨークでなくても都会に一人で住んだことのある女性ならこのトレイシーやブルックのそれぞれの部分に少しばかり共感してしまうはずの作品です。
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