このレビューはネタバレを含みます
今まで見た中でトップを争うぐらい個人的には好きな映画だった。初めはリアルなイジメに目を背けたくなるような感情ばかりで見ているのが辛かったが、古賀くんはこの物語の主人公に相応しいなと思った。自分の意思がしっかりあるからである。それは言葉で表現出来るとか、表情で伝わってくるとかの一部分ではなく、彼が動くだけで全身で彼の今の状態が伝わってくるような、そんな気がした。それもわたしは言葉にはできないのだけれど、彼の曲げない根性が好きだった。特に印象に残っているのは黒柳がタバコを吸おうと座り込んだシーンである。後ろから街灯が照らしているが、シルエットのみ映されるのではなくぼんやりと光が顔の下部分を照らしているのがなんとも言えなかった。おそらく黒柳は古賀のことも恋愛対象に見えてしまっていたが、タバコで抑えていたのだろうと考察できて、少しだけ泣きそうになった。
湿っぽい質感でリアルさを嫌なぐらい感じる映画だったが、特に青木のセリフは常に意味ありげでリアルを感じなかった。このアンバランスが映画ならではだと思った。すごく考えさせられる映画だった。出会えて良かった。