Nobuo

恋人たちのNobuoのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.0
橋口監督作品は初ですが、暫く感想が言葉にできないくらいの作品でした。

2時間半があっという間です。

7年の製作期間の中で監督自身大変な苦労があったとか。
まさに身を削って作り上げたこの力作は、その分観ている側も苦しくなるシーンが多い。
主人公の過去と、周りの人の悪意のない無関心さがとにかく痛い。
自分も共感力の無さに辟易してしまう。
そんな中で時折入る笑いに救われました。
登場人物達はいたって真剣なんですがその会話のズレが実にシュールでつい噴き出してしまう。ずるい。笑

でもそのバランスがすごい現実感があって良かった。
誰かが鬱々とした気持ちを抱えていようが時間は平等に経つし、周りの人も思い思いに勝手に過ごす。
人によって思考する速度も違うし、その考えの根底も違うからこそ、その中で出てくるズレが時に笑えるし、そんな瞬間が時にすごく愛しく思えるんですよね。

現実世界でも苦しんでいる人達は気付いてもらうためのシグナルを発しているはずなのに、誰も気付こうとしない。
多分気付いても面倒なので見て見ぬふり。
誰も助けてくれないって人がいるのはそりゃそうだわな。

そんな世の中にズビッとメスを入れてくるのがこの作品。

決して万人受けはしないと思います。

ですが、一億三千万全ての日本人に向けられた映画だと思いますし、ラストは観ている人全員に響くと思います。

止まない雨はないとでも言うような監督からのメッセージが込められた優しい映画でした。

最後にこの映画のチラシを手に取られた方はお分かりになるかと思いますが、開くと各界の人の圧倒的熱量のコメントが書かれてます。
中でもバクマンの監督が良い事言われてましたので紹介しておしまい。

「僕が映画監督を名乗らないのは橋口監督のような人がいるからだ。こんな映画を作る人と自分が同じ職業なわけがない。(中略)これぞ今観るべき日本映画!」

よし。