キネマ旬報ベスト・ワン上映会で鑑賞。
妻が殺された男、倦怠期の中年女、ホモセクシュアルの弁護士の3人を中心にしたそれぞれの話が並行して進みながら決して交わらない変わったオムニバス形式の作品。
ほとんど全てのキャストを無名の俳優たちをワークショップをやりながら集めて撮った映像は妙なリアリティに溢れている。ずーっと絶望の淵、もやが晴れないような毎日を暮らす中で、それでもそれぞれの人生が明日に繋がっていくことを示唆するラストには仄かな希望が見える。
キネマ旬報らしい邦画ベスト・ワンだ。表彰式で監督の橋口亮輔さんが、「これを撮るまでの数年間、ご自分も人生に絶望しておられた時期もあったが、この作品を撮れて良かった」とおっしゃっていたのが心に残った。
好き嫌いは別にして、心を揺さぶる映画です。