パプーシャのクシシュトフ・クラウゼ監督の「借金」、ポーランド映画祭でぜひ多くの人に観てもらいたい傑作だった。角川シネマ新宿にて鑑賞。

内容はマフィアに脅され、理不尽な負債を回収しようとするビジネスマンの悲劇を通し、急速に社会変貌するポーランドの負の側面を丁寧に描写しており、かつ上質なクライムサスペンスとしても魅せてくる。
冒頭で首のない死体が2体引き上げられるのだが、細かい演出や観るものを翻弄する伏線などすでに駆け引きははじまっている。

共産主義から資本主義への過渡期、時代の変化に適応していない時代に、野心を持つ若者に対して、正反対に人の生き血を啜るギャングの、悪夢のスパイラルの中で人間性が揺らいでく様が単純に面白い。
手持ちカメラで人物を追ったり、わざとボカしたりして、閉塞感や緊張感に満ちた世界を作り出している。社会派ドラマでありながら、ラストはきっちり映画的なとこに落ち着くのが好き。

• #2015〜

《ポーランド映画祭》借金取りの肩代わりから抜き差しならぬ窮地にずるずる追い込まれていく男たち。冒頭のショッキングなシーンで始終漂い続ける死の予感。アダムのマスクは魅力的。ただ前半仕掛け部分の繋ぎはやや散漫な印象で残念。

リピート鑑賞。映像で見る側を翻弄する伏線など芸の細かい箇所も興味深いが、恐喝男の背景に民主化が始まった当初のポーランドの社会情勢が投影されていて面白い。本国で評価が高いのも共感の結末とこの辺りでは？(2014/12/22)

見慣れない俳優ばかりで誰が誰だか序盤は手間取ったけどそれが過ぎると目が離せない力強いサスペンス。居心地の悪いカタルシスがかえって背筋を寒くさせた。ポーランド映画祭2015で飛び込みで観た当たり映画。音楽がmichael urbaniakで驚いた。