ぐっない

ビューティー・インサイドのぐっないのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
3.6
「見た目」と「中身」について考えさせられる映画なのかなって思って観たんだけど、自分でも悲しくなるくらい、なんとも思わなかった。

いろいろなことが中途半端で、綺麗事で、ずるい。
こんなこと言うの嫌だし酷いって分かっているけれど「見つめることさえできない」人が出てこないじゃないですか。
毎日変わるのに。
見つめることができる人にしかならない。
ウジンがどうやって生きてきたのかも、彼の感情もあまり分からないし。
イスは本当に美人で素敵な人だし。
ウジンがイスを「良い」と思ったのも、イスがウジンを「良い」と思ったのも、外見があったからで。
毎日肉体が変わる人、知らない人でしかなくない?
知らない人に抱きしめられたりキスしたりするの、とても怖い。
見つけられないのも、とても、とても怖い。


じゃあこれを身近なことに置き換えて、とか、抽象化して、とか考えても、全然なにも思えなかった。想像させる材料が少なすぎる。リアリティが無い。ウジンの仕組みや生活が全然分からないから、生きていると思えない。こんな中途半端で、愛とか、中身とか、語ってほしくない。美しいものしか出てこない。

「見た目」とか「中身」とかじゃなくて、ひとはひとだ。
性格が似ているとか、優しいとか、そういうのだけじゃなくて、こめかみの形に私の指がぴったりと合うとか、背中のホクロの場所を知っているとか、そういうのも凄いことで、素晴らしいことだ。
想像力の問題なのかなあ、それとも私がなにか欠けているのかなあ。
私には100%不可能だ、ということしか分からなかった。
そう思ったらなんだか悲しくなってしまった。ぜったい、悪いことじゃないのに。


でも、光がとても綺麗だし、2人のデートはいつも素敵だし、少し泣いてしまったし、なにより、なによりイスが本当に綺麗なので、良かったです。
ぐっない

ぐっない