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はじまりへの旅のQMのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.8
女の子が父親の指示にない「ロリータ」を読んでいた時、叱るのでなく考察を聞いてその本から何を理解したかを確認し褒めたシーンが好き。教育方針をなるほどよく理解できた (あらすじや感想でなく考察)

子ども達が"普通の"生活のなかに身を置いた時にも、快適さや刺激に流されることなくそれが「自然にとって倫理的か」の視点で違和感を伝えてたところからも感じだけど、この家庭では親の考えや思想を子どもに押しつけるのでなくガイド役としての大人が居て、常に自分の頭で考え行動することを徹底させてるんだなぁと。それはまさしく母親の遺言?にもあったフレーズ。親は行動を制限するのでなく子どもが道から外れた理解をしてないか、常に本質・客観的視点をもって意思決定してるかを確認し、異なる考えを持った時には立場関係なくフラットに議論する。すべての計画はPDCAを回す。
それが伝わってくるシーンがたくさんあり、安易に反資本主義・ヒッピー万歳のお話になってないところがとても良かった。

一方で、現実世界に嫌気がさし理想郷を作り上げ、良質な情報 (としてスクリーニングされたもの) だけを摂取させても、開拓し尽くされ物に溢れた現代で人を完全にその中に留めておくことは難しい。どんなに良質な人間に育っても、自由に生きるには'理想的'でない人や物事とも対峙しなければならならず、その方法は理想郷では習得できない。そしてその環境を作った人たちは腐った現実を知ったからこそそれが作れたという皮肉。

あと、 (邦画なら必ず描いてそうな) 両親がこうなった背景に一歳触れないところも良い。

色々考えが浮かんでまとまらないのでメモ:
・ボウがグレタトゥンベリに似てる
・クリスチャニティは馬鹿にするのに好きな音楽はバッハのゴルトベルク変奏曲グールドバージョンw
・ノームチョムスキー??
・母親の真意はどんなだったんだろう。大学進学への考え等。"死んだら終わり"だから描かなかったのか?
QM

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