イスケ

クリード チャンプを継ぐ男のイスケのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

そうか、ポーリーも……

変わらず飄々と暮らしているロッキーだけど、そこに漂う抜け殻感。
「ただ生きてるだけ」のように見えるロッキーの姿に、しょっぱなから涙腺が緩む。

失い続けてきたロッキーが発する「時には逆らえない」という言葉は重いなぁ。


そんな序盤だったからこそ、アドニスのトレーナーになってから、ロッキーの心にまた少しずつ灯りが点っていく様子は、自分のことのように嬉しくなった。

ロッキーとアドニスとビアンカの三人が、一緒に家にいるシーンは他愛もないことだけど、長らく無かったことだろう。

試合前夜にアドニスの部屋にサプライズで喧嘩中のビアンカを呼び寄せて、ドアばかり気にしてるロッキーも最高w

ロッキーからしたら、アドニスを我が子のように思う気持ちもあっただろうし、二人の姿を見て、自分とエイドリアンを重ねるところもあっただろうなと思う。

過ぎ去ってしまった時間の寂しさを、新しい幸せが包み込んでいるような良いシーンだった。


で、ニワトリ追いかけるやつねw

「俺も昔やった」みたいな言葉は、たぶんロッキー自身がミッキーに言われてたやつかな。

ボクシングに携わると、自分が輝いていた時間やそこにいた人たちのことを思い出さずにはいられない。

彼が完全にボクシングから離れていたのは、大事な人がすべてボクシングに紐づいていて、思い出したくなかったからだと察するんだけど、新しいことで上書きしてやることで次の一歩を踏み出せるところはあったと思うんだ。

抜け殻のまま長生きするのと、癌であったとしても人生の最後を熱い気持ちで締めくくれるのなら……自分なら絶対後者だな。


ロッキーがアドニスのトレーナーになったばかりの時に、鏡に映る自分自身の姿をアドニスに見せて、

「お前を睨んでる奴がいるだろう?そいつが最強の敵だ。お前がリングに上がるためにこいつが立ちはだかる。」

と言ったシーンも良かった。

自分自身が一番の敵。
ロッキーシリーズを全部見ていれば、ロッキーがいつも自分と戦ってきたことを知っていますからね。この説得力は強い。
イスケ

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