安堵霊タラコフスキー

山の音の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
3.0
自分は食べ物に関してもトウモロコシやスイカ等嫌いなものが多いなと自覚していたけど、どうやら映画に関しても感覚が受け付けない監督というものが多いらしく、おそらく成瀬もそんな監督の一人だ

成瀬の作品は人物の所作のわざとらしさ、つまり生活感を出してるようで全く感じられないところが気持ち悪く、そこが成瀬演出の個性なのかもしれないけどその特徴にどうしても拒否反応が出てしまう

一瞬つまづくような心地がして本当に要るのか甚だ疑問なバストショットの挿入だったり喋っている人物だけに焦点を当てる基本に忠実な撮影だったりも、同じく人によれば個性と思えるような箇所にも相変わらず良いと自分には決して感じられず、見る度文字通り苦虫を噛み潰したような顔になる

加えて原作の庶民性と美しさが同居する川端文学の味わいと比べるとどうしても野暮ったい印象を抱いてしまい、その点でも劣後の感を否めない

こんな具合に成瀬映画は大抵の場合演出的不快感とかを覚えるため苦手なのだけど、料理におけるコーンスープやポップコーンのように調理次第で味わえるものもいくらか確認できるので、できればそういうものにもう少し巡り会いたいところ