山の音の作品情報・感想・評価

山の音1954年製作の映画)

製作国:

上映時間:95分

ジャンル:

3.8

「山の音」に投稿された感想・評価

川端康成の原作が素晴らしすぎ。
成瀬巳喜男も上手く映像化したとは思う。ただ、上原謙演じる修一が心に深い傷を負って帰ってきた復員兵であることをもっと描くべき。菊子と信吾のぎりぎりの恋愛感情も原作より、美しく描かれている。タイトルの山の音がどこかに消えてしまった。
ネムル

ネムルの感想・評価

4.7
ちょー怖い。嵐のシーンなんて、特に。
登場人物にしゃべらせているなか、フレームの外の人物が動き、その影の動きだけが映される。
一見は平穏な日常の外にある淀み、踏み込みすぎない節度をもって、そのどろどろした闇が次第に強調される。
苦笑なのかハニカミなのか、上っ面の作り笑顔か単なるダイコンか、こんなに怖い原節子はなかなか見れない。さながら能面役者のようですらある。
ほし

ほしの感想・評価

3.5
原節子は背中がいっとう良い。起き抜けに一枚羽織ったあの丸み!
Tyga

Tygaの感想・評価

3.7
原作も読みたいなーと思いながら積ん読に埋もれてるはず。

原節子のやつれ加減で見せる映画だなぁ、と思いながら観ていたら、旦那の告白とその後の愛人のところで衝撃が2段構え。

キャスティングと演出に拠って絶妙なリアリティが作り出されていて、ともすれば説明不足となりそうなところが説明不要になっていると感じた。

御苑が50年前から都心の貴重な自然という認識だったというのも面白い。意外なところが変わってないんだ。
映画男

映画男の感想・評価

2.5
義父と嫁の禁断の恋。嫉妬する周りの家族。
不倫。DV。家出。。。

醜悪で狂気的な俗臭をオブラートに包んで上品な映画にしたという感じの作品。原作に忠実とはこういう事か。成瀬の魔術。
前々から観たいと思っていた成瀬巳喜男監督作品、ようやく観た。
しかも、つい2日前に「今年9月5日に亡くなっていた、という原節子さんの訃報」で衝撃を受けたばかり…。

この作品の冒頭、昔の鎌倉駅前(東口)が映る。そこに降り立つのは、父(山村聰)である。その父の真横に見えるのが鎌倉駅前のバス停留所であるが、なんと行先が「浄明寺」であり、原節子が長年暮らしていた場所ではないか。なんと奇遇なことか、と思ってしまう。(場所としては、鶴岡八幡宮に突き当たって右に行った方向だったはず…(もと鎌倉市民の自分の記憶)、もちろん原節子さんの住んでいた家を知っていたわけではない。)

しかし、この作品、冷め切った夫婦(原節子と上原謙)と嫁を温かく見守る義父(山村聰)を中心に、残酷な世界を描いた成瀬監督作品。

終盤の新宿御苑を歩く義父と嫁だが、「東京にもこんな場所があるなんて…」というのは、現代でも同じ思いになるが、61年も前に作られた映画でも同じセリフが発せられるのは驚きであった。

最後に、謹んで女優・原節子さんの御冥福をお祈りします。合掌
みゆ

みゆの感想・評価

4.3
2017.09.18(192)
録画


NHK BSプレミアムにて。

小津作品の原節子も好きだが、こちらの原節子も良いなぁ。こう、表に出す演技も上手いんだな。すごい役者さんだなと改めて思う。

義父母に可愛がられているが夫には愛されていない菊子。特に可愛がって気に掛けてくれる義父と、家族愛とはまた違う、別な形の愛を(お互い自覚しているか否かは別にして)育んでいく。

従順な妻のように見える菊子の、夫へ注ぐ眼差しの重さといったら!

成瀬巳喜男の作品は「めし」しか見ていなかったのだが、もっと他の作品も気にして見てみたいと思った。

新宿御苑が今と変わらぬ姿でびっくり。

【メモ】
途中ピントが合ってない場面が結構あったのだが、デジタル化する際、元となったフィルムが劣化し伸びたり歪んだりしていたのだろうか。
キチンと映画の内容だけで良し悪しを判断出来ればよいのだけど、どうしても不倫やDVなどを行う男を見てると嫌悪感が先にたって内容はどうでもよくなってしまうんだよね。義父と嫁の奇妙な関係も面白くはあるけど、息子の不始末に右往左往する姿と理由には...。頭が固いのだろうなぁ。
seishirow

seishirowの感想・評価

4.0
高校の時に読み耽った川端文学。これは代表作の映画化。でも掌・短編の方が記憶にあり山の音の内容はあんまり覚えてなかった。そもそも高校生には味わう事はそれなりにできても深く理解や共感ができるわけもなく…。
映画には山の音に関しては出てこず、好々爺っぷりが強調されているに留まる。原作を端折るのも仕方ないが…義父は一人の男ではなくなっていた。それでもよく笑う原節子だが悪い亭主でほんとに気の毒。彼女の浮き沈みと義父の気遣いが十分に心に染みる作品だった。
tjZero

tjZeroの感想・評価

3.8
鎌倉の二世代同居のサラリーマン家庭。
長男(上原謙)が他に女を作っているのは公然の秘密になっている。

そんな、表面上は穏やかな一家に、子連れの長女が出戻って来たのを機に、小さな亀裂が拡大していく。その繊細な描き方に見応えあり。

画面上は静かな台詞のやりとり、平穏な表情で語り合うそれぞれの登場人物たちなのだが、その裏で感情や心理がグラグラと揺れているのが確かに感じられる。落ちついているのにドラマティック。

まるで、静かな湖面を優雅に泳ぐ水鳥が、水面下では必死に足ひれを動かしているかのよう。

そして、それぞれのキャラクターに芯があって、存在感がある。
皆が言いたい事を言い、筋が通っていて、誰が良いとか悪いとか単純に決めつけられない、深みがあって”オトナ~”な描き方。

家族間のいさかいを経て、父親(山村聰)と義理の娘(原節子)が親子でもなく、男女でもない、まるで親友(戦友)同士のような清冽な関係になっていくのが一服の清涼剤になっている。
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