山の音の作品情報・感想・評価

「山の音」に投稿された感想・評価

般若面の原節子の視線!
青山真治がラストのカメラワークを絶賛してたがよく分からなかったので要再見。
まさ

まさの感想・評価

4.5
成瀬巳喜男監督の大傑作。

初見だけど、とてつもなく好きな映画だった。家族の物語ですが、登場人物の各立場におけるセリフが1つ1つ深い。これはね、20代くらいの人の感想が聞きたいね。この映画を観てどう感じるか。

主演の原節子に関して一言…
控えめに言って最高。こんな完璧な嫁(原節子)がいるというのに夫(上原謙)は…
お義父さん役の山村聰は名セリフの連発!俺もこんな優しさが持てる男性になりたい!お義母さん役の長岡輝子は劇中何回か、「お義父さんは嫁の気持ちがわからない」と言うが…俺はそれは違うと思った、実際後半に進むにつれてお義父さんの方が嫁の心情を理解してたと思う。

劇中で起こる嫁が判断したある出来事に対して、嫁の考えに納得した…夫があれじゃそりゃそうだし、お義父さんの1つ1つのセリフが深いため、こりゃ男性陣はこの映画観た方いいよ。

この時代の日本映画は傑作が多い!少なくても俺の琴線には触れる。
YOU

YOUの感想・評価

3.6
作家(小説の話)で全部の作品を読んだのは
夏目漱石と太宰治とこの川端康成。
川端は同時代の三島由紀夫の才能に
一目置いていて,
川端がノーベル文学賞をとったとき
三島に申し訳ない、というようなことを
言っていた。
だからどうしても川端は三島の下みたいな
前知識が頭から離れないのだが、
川端の文章に触れる度に、
その頭の中にある硬い塊はすっーと氷解する

川端の作品は日本文学史上、
唯一無二の芸術性があると僕は思う。
川端が描く普通の日常は
どこかドラマチックだったり、
ロマンチックだったりしていて、
生活臭さを感じないのだ。
映画にもそういう作品がある。
好きだからそう感じるのか
そう感じたから好きになったのか
はわからないが、
森田芳光監督の『それから』などは
そうだった。
松田優作と笠智衆の沈黙、
饅頭を食べる音だけのシーンなどは
頭の中で何度も反芻された。
自分が主人公を演じているような
不思議な気分になるのだ

話はそれたが、
だから川端の芸術性をきちんと描ければ
これほど映画と相性良いものはないと思う。
岸恵子主演の映画『雪国』も
吉永小百合、山口百恵の『伊豆の踊り子』も
よくできた作品だと思う

そしてこの『山の音』もいい。
全体の静かさと、やはり原節子の上品さは
この映画の質を高めていると思う。
モノクロなのもいい

裏のありそうな夫が寝床から
「菊子、菊子」と濁った声で呼ぶシーン。
廊下で振り返った原節子が一瞬見せる
険しい表情は圧巻だ

秘書がお面をつけるシーンは
素晴らしい。味わい深い

しかし古い時代の話だが、
全然古臭くなくて、
女性の自由と自立、
父親の柔らかな表情は
現在に通じるものがある
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ハリウッドの商業的映画も、
娯楽優先の映画もそれはそれ
映画なんだから何でもありだと思う。
それが映画の懐の深さだ。
でも「芸術」的なのはやっぱり魅力的
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P.S.
ラストの『第三の男』に出てきたような
枯れ並木の場所は新宿御苑らしい
otom

otomの感想・評価

4.1
乱れに乱れまくった昨今ならば嫁(原節子)と老け役の義父(山村聰)で間違いでも起こりそうな筋ではある。三島由紀夫曰く接吻だけで自決する大正の女性の貞操観念から戦後の昭和で緩くなったとは云っても劇中の家庭問題はさぞかしショッキングだったろうと思われる。
川端康成のいぢめがちな美学、成瀬巳喜男のスムーズな演出も文句なく素晴らしいけれども、今時こうはならんよなって思いもよぎらないではない。
トリガーとしてのまたしてもの鼻血、吹っ切れた原節子とビスタな代々木公園の組み合わせはとても良かった。
堂ノ本

堂ノ本の感想・評価

5.0
成瀬巳喜男特有の編集がここでは恐ろしく映る。また照明がすんばらしい。電気や蝋燭は消され、原節子が俯くと影がかかる。静隠な雰囲気が家中を支配する、それを成し得た照明、撮影、美術のスタッフのレベルの高さよ。

門前の通りが何度も同構図で映される。細く、奥行きに乏しい構図からラストの公園の並木道の広く奥に伸びた構図で締める。
前々から観たいと思っていた成瀬巳喜男監督作品、ようやく観た。
しかも、つい2日前に「今年9月5日に亡くなっていた、という原節子さんの訃報」で衝撃を受けたばかり…。

この作品の冒頭、昔の鎌倉駅前(東口)が映る。そこに降り立つのは、父(山村聰)である。その父の真横に見えるのが鎌倉駅前のバス停留所であるが、なんと行先が「浄明寺」であり、原節子が長年暮らしていた場所ではないか。なんと奇遇なことか、と思ってしまう。(場所としては、鶴岡八幡宮に突き当たって右に行った方向だったはず…(もと鎌倉市民の自分の記憶)、もちろん原節子さんの住んでいた家を知っていたわけではない。)

しかし、この作品、冷め切った夫婦(原節子と上原謙)と嫁を温かく見守る義父(山村聰)を中心に、残酷な世界を描いた成瀬監督作品。

終盤の新宿御苑を歩く義父と嫁だが、「東京にもこんな場所があるなんて…」というのは、現代でも同じ思いになるが、61年も前に作られた映画でも同じセリフが発せられるのは驚きであった。

最後に、謹んで女優・原節子さんの御冥福をお祈りします。合掌
優しく穏やかな時間。
厳格というよりは優しげな父。
少しシニカルではあるが、悪意はない母。
可憐で持ち前の華やかさとしとやかさを持つ息子のの嫁。
かつてあった日本のイメージの家庭の中に、不倫に生きる息子と、父親に愛された実感がなかったために現在の夫婦生活にイジケがちな娘。
物語の進行は、その優しさ穏やかさをたたえたまま、ドロドロとした。いびつな現実をサラリと展開していく。

人間というのは、美談めいた感傷の中で、特にこれは、「日本人的」ということなのかもしれないけれど、コミュニケーションが下手である。
特に、言文一致の生き方ができない。
元にある感情をあるときは抑圧し、はぐらかし、感情そのものを変質させ、まるで美しい物語のように思い込んでしまう。

小津安二郎がその歪さを、歪なまま滅びていく家族を描いたというのなら、成瀬巳喜男は、それでもまだ生き延びていくことを、淡々と描いている。
小津が「こういうシャシンは撮れない」と言った美意識の違いはなんとなくわかった。
scotch

scotchの感想・評価

3.0
時代は違っても男女関係のドロドロぶりは同じですね。
美人妻(原節子)がいるのに外で女を作るゲス男(上原謙)。しかし、昔のゲスは今ほど叩かれません。女の方が耐え忍ぶばかり。このゲス男、しっかり両方に子どもを…上原謙が布団から原節子を呼ぶ。そんな描写は全くないのに妙にエロさがあります。
この不憫な妻を優しくするのが義父(山村聰)。美人妻の方もまんざらではなさそう。やばい、やばすぎる、もはやこれはAVのストーリーではないか(笑)
今ほど簡単に女体を拝めぬ昔の男は、こんな作品でエロの欲望を抑えていたのかもしれない(笑)
川端康成、谷崎潤一郎、そんな作品が多々ありますよね、そんな作品を純文学と言っていいのか?(笑)
kirito

kiritoの感想・評価

4.1
【同盟戦線】

自分は昭和初期〜中期を描いた邦画がたまらなく好きである。
特に好きな邦画監督なら迷わず小津安二郎をあげるし、好きな俳優なら笠智衆。
そうなって来ると好きな女優は原節子になるはずだ。

鎌倉を舞台に、ある家族を描いた映画。

当時は珍しくない二世代同居の家族。
お父さんと息子が会社から帰って来るのはサザエさんでもお馴染みの光景だが、やはり何か落ち着くものがある。

困ったことにこの長男は不倫をしている。
しかも、それはみんな知っている。
そんなとき、長女が子供を連れて帰ってくる。
彼女の存在が家族に波紋を広げ始め…


とにかく原節子の役が切なすぎる。
いわばもう妻というよりかは家政婦さんという立ち位置。


この映画の魅力はそんな彼女と義理の父の関係だ(断っておくが決して変なAVじゃない)。
後半に連れてこの2人のなんとも言えない関係が実に心地よく、ずっと見ていたいと思えたりする。

最後道を歩いて行く2人に栄光あれと願わずにはいられない。

2017.11.13
あらき

あらきの感想・評価

4.0
影と視線の映画
気持ちが嫁舅の範囲を飛び越えそうになると山村聰と原節子の体に影がかかる
中北千枝子の目はほんとにいい
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