山の音の作品情報・感想・評価

「山の音」に投稿された感想・評価

アサギ

アサギの感想・評価

3.5
山村聡は1910年生まれで、上原謙は1909年生まれなので息子役の方が年上ということになります。原作をこの前読んだのですがラストを大幅に変えてますね。まあこれもこれでいいかもしれない。
ubik

ubikの感想・評価

-
食卓、子供だから動向のシーン44分とか
遺言、横着
喋ることで物語が進むのが多い。やっぱり、そういう場面で人を座らせたり立たせたりするのがうまい。画を持たせる技術。
歩く時の木の陰が素晴らしい。
奥行きについての言及が最後にある。
原節子による良妻賢母の具現化。
いつもニコニコと愛想よく、よく働いて怠けない。

原節子の映画を初めて見ましたが、美人は美人ですが絶世の美女とは言えない顔してるんですよね。
けれど、仕草や表情から生まれる人懐っこさにぐいぐいと引き込まれる。

その健気な原節子を「幼稚である」見下し、浮気をするダメ夫。
あいつだけは許せん。

このダメ夫の両親、夫との不仲で実家から逃げ帰ったダメ夫の妹(姉?)と二人の子供による家族の物語。

ひたすら耐える原節子の、一番の理解者は父。
物分かりがよい代わりにことなかれ主義で、煩くはないがよい父親には見えるけれど、家庭の問題は放置しがち。
終盤に近付くにつれ息子に我慢ならなくなるけれど、それでも怒鳴り散らしはしない。

「男には分からない」という妻に対して、「君が女だからと言って全ての女の気持ちがわかるとは限らない」と言っていたのが印象的。

薄々浮気に気付く原節子の、最後の抵抗があまりに切ない。
その最後の抵抗すら意に介さないダメ夫。
哀れな原節子に対して、父親の与えた許しは解放。

基本的に、殆どのシーンが家の中で、中盤以降は息苦しくて仕方ないんだけど、ラストシーンの舞台は広い公園。

結果的に家族は崩壊する訳だけど、重苦しい家庭から原節子がやっと解放されたんだなという安心がある。
場面も相まって、ウンベルトDと似たような後味。

ウンベルトじいさんの未来は非常に暗かったけど、原節子はちゃんと幸せになるのだろうか…。
Ryu

Ryuの感想・評価

4.0
原作読んだことないけど、老人の原節子に対する眼差しは再現されてるのだろうかと疑問にも思った。
けど、映画の中だけで見ると原節子の輝き、各々の感情の揺らぎ、廊下の場面など印象的な点が数多く存在していて良かった。
般若面の原節子の視線!
青山真治がラストのカメラワークを絶賛してたがよく分からなかったので要再見。
まさ

まさの感想・評価

4.5
成瀬巳喜男監督の大傑作。

初見だけど、とてつもなく好きな映画だった。家族の物語ですが、登場人物の各立場におけるセリフが1つ1つ深い。これはね、20代くらいの人の感想が聞きたいね。この映画を観てどう感じるか。

主演の原節子に関して一言…
控えめに言って最高。こんな完璧な嫁(原節子)がいるというのに夫(上原謙)は…
お義父さん役の山村聰は名セリフの連発!俺もこんな優しさが持てる男性になりたい!お義母さん役の長岡輝子は劇中何回か、「お義父さんは嫁の気持ちがわからない」と言うが…俺はそれは違うと思った、実際後半に進むにつれてお義父さんの方が嫁の心情を理解してたと思う。

劇中で起こる嫁が判断したある出来事に対して、嫁の考えに納得した…夫があれじゃそりゃそうだし、お義父さんの1つ1つのセリフが深いため、こりゃ男性陣はこの映画観た方いいよ。

この時代の日本映画は傑作が多い!少なくても俺の琴線には触れる。
YOU

YOUの感想・評価

3.6
作家(小説の話)で全部の作品を読んだのは
夏目漱石と太宰治とこの川端康成。
川端は同時代の三島由紀夫の才能に
一目置いていて,
川端がノーベル文学賞をとったとき
三島に申し訳ない、というようなことを
言っていた。
だからどうしても川端は三島の下みたいな
前知識が頭から離れないのだが、
川端の文章に触れる度に、
その頭の中にある硬い塊はすっーと氷解する

川端の作品は日本文学史上、
唯一無二の芸術性があると僕は思う。
川端が描く普通の日常は
どこかドラマチックだったり、
ロマンチックだったりしていて、
生活臭さを感じないのだ。
映画にもそういう作品がある。
好きだからそう感じるのか
そう感じたから好きになったのか
はわからないが、
森田芳光監督の『それから』などは
そうだった。
松田優作と笠智衆の沈黙、
饅頭を食べる音だけのシーンなどは
頭の中で何度も反芻された。
自分が主人公を演じているような
不思議な気分になるのだ

話はそれたが、
だから川端の芸術性をきちんと描ければ
これほど映画と相性良いものはないと思う。
岸恵子主演の映画『雪国』も
吉永小百合、山口百恵の『伊豆の踊り子』も
よくできた作品だと思う

そしてこの『山の音』もいい。
全体の静かさと、やはり原節子の上品さは
この映画の質を高めていると思う。
モノクロなのもいい

裏のありそうな夫が寝床から
「菊子、菊子」と濁った声で呼ぶシーン。
廊下で振り返った原節子が一瞬見せる
険しい表情は圧巻だ

秘書がお面をつけるシーンは
素晴らしい。味わい深い

しかし古い時代の話だが、
全然古臭くなくて、
女性の自由と自立、
父親の柔らかな表情は
現在に通じるものがある
------------------------
ハリウッドの商業的映画も、
娯楽優先の映画もそれはそれ
映画なんだから何でもありだと思う。
それが映画の懐の深さだ。
でも「芸術」的なのはやっぱり魅力的
---------------
P.S.
ラストの『第三の男』に出てきたような
枯れ並木の場所は新宿御苑らしい
otom

otomの感想・評価

4.1
乱れに乱れまくった昨今ならば嫁(原節子)と老け役の義父(山村聰)で間違いでも起こりそうな筋ではある。三島由紀夫曰く接吻だけで自決する大正の女性の貞操観念から戦後の昭和で緩くなったとは云っても劇中の家庭問題はさぞかしショッキングだったろうと思われる。
川端康成のいぢめがちな美学、成瀬巳喜男のスムーズな演出も文句なく素晴らしいけれども、今時こうはならんよなって思いもよぎらないではない。
トリガーとしてのまたしてもの鼻血、吹っ切れた原節子とビスタな代々木公園の組み合わせはとても良かった。
ズバリ、この映画は原節子の“表情”に尽きると思います
51年「麦秋」、53年「東京物語」
女優さんとしても絶頂期でしょうか?
堂ノ本

堂ノ本の感想・評価

5.0
成瀬巳喜男特有の編集がここでは恐ろしく映る。また照明がすんばらしい。電気や蝋燭は消され、原節子が俯くと影がかかる。静隠な雰囲気が家中を支配する、それを成し得た照明、撮影、美術のスタッフのレベルの高さよ。

門前の通りが何度も同構図で映される。細く、奥行きに乏しい構図からラストの公園の並木道の広く奥に伸びた構図で締める。
>|