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山の音のkiritoのレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
4.1
【同盟戦線】

自分は昭和初期〜中期を描いた邦画がたまらなく好きである。
特に好きな邦画監督なら迷わず小津安二郎をあげるし、好きな俳優なら笠智衆。
そうなって来ると好きな女優は原節子になるはずだ。

鎌倉を舞台に、ある家族を描いた映画。

当時は珍しくない二世代同居の家族。
お父さんと息子が会社から帰って来るのはサザエさんでもお馴染みの光景だが、やはり何か落ち着くものがある。

困ったことにこの長男は不倫をしている。
しかも、それはみんな知っている。
そんなとき、長女が子供を連れて帰ってくる。
彼女の存在が家族に波紋を広げ始め…


とにかく原節子の役が切なすぎる。
いわばもう妻というよりかは家政婦さんという立ち位置。


この映画の魅力はそんな彼女と義理の父の関係だ(断っておくが決して変なAVじゃない)。
後半に連れてこの2人のなんとも言えない関係が実に心地よく、ずっと見ていたいと思えたりする。

最後道を歩いて行く2人に栄光あれと願わずにはいられない。

2017.11.13
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